下焦精蔵 第二十二節 孕婦(はらめ)採豆




児が腹にあるときはその乳房を咥えているのだから、妊婦は身や手を伸ばして高いところにあるものを取ってはいけない。もし高いところにあるものを取ると、児がその乳房を離してしまい害となるから。と俗に言われ、妊婦は身を屈めて豆を採らせるのがよいとされています。

この言葉は論としては間違っていますけれども、正しいことを含んでいます。どうしてかというと、右に弁じたように母の腹の中で飲乳してはいないわけですけれども、妊娠して背を伸ばして高いところにあるものを取ろうとすると、腹の皮が引っ張って急迫し、胎息を動揺させてしまうことがあります。身を屈めて腹皮が緩むようにしていると、胎は安静を保つことがでるわけです。ですから、この妊婦は豆を採って身を屈めるようにするとよいということは、養生家の法にかなっているということになるわけです。



一元流
医学三蔵弁解 前ページ 次ページ