中焦穀府 第八節 水穀留胃




飲食が口に入って納まると、すぐに下って二陰に滲み泄れ出るべきです。どうして中宮に保たれ消化の時間がかかるのでしょうか。

胃に入った水穀は、その気味を胃の中で保つので消化する時間がかかります。消化し終わってすでに気味が失われてしまうと、胃の中に止まることができなくなり、小大腸膀胱に下って、二陰から滲み泄れ出ます。

翻胃のように胃中の消化〔訳注:機能〕が失われると、胃中で飲食の気味が失われません。気味が去らないものを下焦へ伝送することはできず、〔訳注:かといって〕胃中に長く止まることもできず、ついには吐いて食を(もど)すこととなります。その吐いた物は、形色はそのままで損傷されていません。このことから、消化されていない物は気味を失ってはいず、気味が失われていない物は下焦に伝送することができないために吐くのだということがわかります。



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