中焦穀府 第十三節 四肢為諸陽の本




四肢は中焦に属し諸陽の本とするということに関しては、右に弁じたとおりです。四肢は人身の四方とします。土は中宮に位置して、その気を四方に対応させています。では、四肢を諸陽の本とするのはどうしてなのでしょうか。

全身における陽気の発動を主るところは心です。陽気は心に発して四肢に及び、四肢から全身に及ぶものです。ですから人がその心気を張ったり四肢を動かすと、内が熱くなり、手足の先から熱気を発します。また陽気が虚し疲れている病人や死にかけの人の手足の先は非常に冷たいものです。胃の中の熱気が減らずに消化することができるということもまた、手足の陽気がこれを助けているからです。

手足をよく動かしていると陽気が中に生じ、胃の熱気が強く盛んになりますので、水穀をよく消化することができて食事が進みます。安楽の人の食事の量はいつも少なく、卑賎辛苦の人の食事の量がいつも多いのもまた、手足をよく動かしているか動かしていないかということによって、胃の中の熱気の厚薄に差があるため、このような違いが出ているものです。



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