第一章 三焦心包有名無形論
第七節 三焦経が短いわけ




門人がまた聞いて言いました。三焦は上中下の三身をめぐる気です。であればその経脉もまた全身を流れ満たすべきでしょうに、手の少陽三焦経はわずかに臂臑(ひじゅ)肩胸耳目のあたりにだけ流れているだけで非常に短いのはどうしてなのでしょうか。

答えて言いました。経脉は肌肉の間を流行しますけれども、その源はすべて臓腑に連属しています。手足の太陰経は脾肺に連属し、手足の少陰経は心腎に連属し、手足の太陽経は膀胱小腸に連属し、足の少陽経は胆に連なり、足の厥陰経は肝に属し、手の厥陰経は心主に属して、それぞれその源に連なるところがあります。けれどもその源が連なるところがわからない一経が余っています。この余っている一経を手の少陽三焦経としたのです。けれどもただこの一経だけを三焦経とするわけではなく、諸経諸絡はすべて三焦に通じるものです。このため《八難》に『諸十二経脉はすべて生気の原と係わります』と述べられており、《十六難》では『臍下腎間の動気は、十二経脉の根本です』と述べられているわけです。手の少陽三焦経が短いからといって不審に思うことはありません。

三焦は諸蔵 諸腑 諸経 諸絡を通行して全身のどこにもこの気を受けないところはありません。上焦の宗気 中焦の営気 下焦の衛気の三気はすべて三焦の気にしたがって運行しているのです。ですから《三十一難》に『三焦は気の終始するところ』と述べられているのです。



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