さて、太極図をもう一度俯瞰してみましょう。
これを、宇宙論を描いたものとして解釈することで宋学は発展していったわけですが、それを、小天地としての人に置き換えるとどうなるでしょうか。
太極とは、そこにある一つの生命をそのまままるごと把握するということです。その生命を、陰陽という観点から、五行という観点から把えなおしていきます。
その生命には男女の違いが存在し、その男女が交わることによって子孫が生まれます。
そこからさらに人の一生の生命の流れが生まれます。(万物化生)
人は天池の縮図すなわち小天地です。小天地の小天地であるゆえんは、天地の運行に比して人には不完全さが強い、大きい傾きがあるということです。そのため、支えあい助け合い互いの短所を補い長所を引き伸ばしてより完成度の高い「社会」を生み出してきたのだと言えます。
個人としては人は非常に不完全であるということを心に留めながらしかし、大自然の運行を眺め、その縮図としての人間存在を眺めていくということが、東洋医学における人間観察の、もっとも基本的な方法論となります。
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