脾胃中心






腑は胆を除いては一本の管であり、いわゆる消化器官です。この消化機能は胃を中心としており、胃と表裏関係にある臓、脾が消化機能の中心となります。このため脾が六腑を統括しているという考え方も生まれてきました。〔注:《類経》〈蔵象〉張景岳の注〕

人が生きているということから考えると、まずその体躯が存在し(先天)、それを維持していくために飲食を取り込み排泄しています(後天)。その中心となるものが脾を中心とした脾胃であるところから、脾胃を守ることの重要性が歴代の医家によって強調されてきました。

ですから、五臓を中心として人体を見ていくということをさらに集約していくならば、脾胃を中心としなければならないという発想がここに生まれてくるわけです。







脾気は昇り胃気は降るという、中焦における陰陽関係が、全身の気の昇降の枢紐として機能します。それを助けるものとして心気は昇り肺気は降るという上焦における陰陽関係があり、肝気は昇り腎気は降るという下焦における陰陽関係が見通されます。

さらに全身的には、心陰が降りと腎陽が昇るという、あたかも天から雨が降り地から水蒸気が昇る天地の交流と同じような心腎の交流が見通されていきました。

いわば、身体においては、小さなくくりとしての脾胃の昇降を中心として、その外側に肺肝の気の昇降、さらなる外郭としての心腎の気の昇降が、見通されるということです。











一元流