四季と土用





五行論は古代の宇宙論です。それは天地をじっと眺め続けることから発想されました。そして、そこで把握された宇宙の法則を、小宇宙としての人間に当てはめて考えられたものが、東洋医学において課題となる五行論です。

まず、時間的なものを応用したものとして、四季に土用を加えた五という概念があります。これに臓腑の特徴を当てはめようとしたものです。日本は四季が豊かですので、直感的にこれを把えることができます。春は肝・夏は心・秋は肺・冬は腎というものがこれです。脾は季節に配当されません。土用という言葉を用いると、日本では夏の土用が有名で、梅雨明けの時期かしらん?と思いますが、そうではなく、季節の分かれ目それぞれのあわいが脾の時期であると考えられます。つまり、他の四季が盛んな頂点の時期〔注:の最終の18日〕を脾が合わせて主るという考え方です。〔注:《素問・太陰陽明論》参照〕

このことは、その季節季節の気を充分に受け取ることによって脾が充実していくというふうに読み替えることもできますし、また、季節に応じた生活をできていなければ、脾の充実が図れずに季節の変化についていけなくなるというふうに考えることもできます。

これは、脾と胃が表裏をなしていて、後天の生命力の根本が飲食物の消化吸収によっているということと符合させて考えていきます。






この、四季に対応させて臓腑を考えるという方法論は、時間的な経過を人身に対応させているものですから、これを一年の生長収蔵という微細な動きとしてだけではなく、一昼夜を通しての一日の状態の変化や、一生の生長収蔵に応用することもできます。さらには、さまざまな人生の一括りの時期に応用することもできます。

注意すべきことは、五臓すべてが協調して働いているために現在の生命があるということです。あたりまえのことですが、春には肝しか盛にならないではないかと考えるのは間違いです。生命そのものの全体的なあり様が、季節に応じて変化していくわけです。

古典には、この時期の心の持ち方や生活の仕方、身体の動かし方などについても記載があります。基本的には、その季節の状況に寄り添いながら生活しましょう、ということです。











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