第二診


頻尿の弁証論治(初診)






病因病理



結婚後、一年ほどでこの症状が発生したことから考えると、結婚生活と頻尿との間に何らかの関係があったのではないかということは考えられるところです。

一年間に二度ほど発生していたその症状が、何のきっかけもなく年中発生するようになったということは、長期にわたる心身両面における疲労の蓄積が、ある時点で堤防が決壊するように溢れ出して、一段階体調が悪化したと考えられます。

いわば器が大きく破損された状態となったため、二年前から気づいて体調管理を行いダイエットなどをして節制したにもかかわらず、症状に変化が見られなかったのでしょう。

初期、年に二回ほど起こっている時点では、これは肝を中心としたストレスとして治療するだけで効果を上げることができたでしょうけれども、一段深い器の破損となったということを考えるとこれは、もうちょっと深い治療の手を必要とすることになると思います。

実際的には、鍼灸治療に対して患者さんの身体がどのように反応していくか、それを診ながら治療の手の深さを考えていくということになります。

ただ、妊娠をご希望で、年齢だけを考えるとかなり切羽詰っていることから、下焦の温補を中心として肝気を緩め臍下丹田に気を納めていくことが必要でしょう。




論治



【証】補腎益精を中心として理気降気


【治療指針】

最初しばらくの間は理気を中心として気が動きやすい身体を作り、その後、一気に腎に納気を行います。

腎に納気を行い、気が積まれている時期と排卵期とを合わせていき、妊娠しやすいようにもっていきます。

気を大きく動きやすい状態にしていきますので、舌診に表れている気虚の問題によく注意します。くれぐれもさらに器を壊さないように、用心に用心を重ねていかなければなりません。


【処置1】

右肝兪:一番一寸

両腎兪:一番一寸

命門に附子餅

【処置1後】

全体に脉力が出、バランスがよくなる。

右関上の滑脉消える。

左寸関尺の動脉が取れる。

根がついた感じ。


両神門あまり変わらない。

両太衝やや腫れが減少する。

左足三里の巨体な陥凹はあまり変わらない

【処置2】

両神門:短鍼一番

両太衝:短鍼一番(動悸が発するのを確かめる)

【処置2後】

左足三里の巨大な陥凹が激減する。 脉状は全体に輪郭がぼやけた感じ。

(気虚を起こしかけた?気滞が緩んだ!)

【考察】

舌や脉状を診ると、虚がきつく、体躯はしっかりしている。 施術すると、脉状の変化は大きい。 これらのことから考えると、器は脆弱で、それに盛り上がるように実態が載っている、非常にバランスの悪い身体であると考えられます。 治療方針は、肝欝気滞を取り去るというところに主眼があるわけですけれども、バランスを崩さないように注意が必要です。











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頻尿の弁証論治
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