主訴は、不妊と、長く続く冷えです。
20代後半から、身体が冷たいという冷えを感じ始めています。 同時に、足のむくみ(夕)、目の疲れ、耳鳴を感じ朝起きがたくなるなどの 症状が出現しています。なんらかの原因で腎気を落としたため 身体を温養する力がなくなり、身体が冷たいという冷えの愁訴につながったものと 思われます。陽関、上仙を中心とした仙骨部の明瞭な冷えや、三焦兪の陥凹、特に右の 三焦兪の縦に亀裂の入った陥凹は腎気の損傷、腎陽の不足を明確にあらわしている ものと思われます。
仕事でパソコンを使うことが多く、根を詰めるため、身体の上部に気が鬱滞しがちに なりますが、腎気の弱さのため、一度肝気が鬱滞するとめぐりにくく治りがたい肩こりと なりがちです。身柱の陥凹、右肺兪の陥凹など肺気の状態の悪さも上焦の気の鬱滞を 助長するものとなっています。
長く続く腎の陽虚肝鬱気味の傾向のうえに、肝気も鬱滞しがちな仕事の継続により、 オケツも生じやすくなり、生理痛、少腹急結、右の次髎のつまり、薬を飲まなくてはならないほどの生理痛などの状態となっています。舌裏に怒脹がないこと、上背部に細絡がないことなど、明確なオケツの状態とまでは進んでいない可能性も高いのですが、このままの腎陽の不足、肝気鬱滞の継続という状態ではオケツへとすすむ可能性が高く、妊娠の希望も遠くなってしまいます。
腎陽を温煦し、肝気をめぐらせ、オケツ気味に傾く素体を助け、妊娠の希望をかなえたいと 思います。
弁証 :腎の陽虚 肝鬱
論治 :温腎、腎気の温養、疏肝理気
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