十問篇






一に寒熱を問い、二に汗を問う、
三に頭身を問い、四に便を問う、
五に飲食を問い、六に胸を問う、
七に聾、八に渇とともに弁ずべし、
九に脉色によりて陰陽を察し、
十に気味によりて神見を章かにす、





見方が定まれば治療することは難かしくはないが、
さらに明哲であれば怨をかうことが少なかろう。





上の十問歌は、診察と治療の要領を歌ったものであり、臨証において最も最初に行わなければならないことである。この十問歌が明らかとなれば、六変もその中にある。それによって全ての病気の形情を自分のものにすることができる。

医療の難かしさは、病気の本を知るというところにある。これが解らないために誤治を施すのである。誤治をすれば人を殺すことになり、天道を畏れなければならなくなる。誤治をしなければ人を済けることができ、その陰徳は窮まることがない。

この医学の道を極めようとする者は、先ず最初にこの十問歌によって医道の要点を把握し、医道を追求する意志と全体にわたる見方とを定めなければならない。その段階を一つ一つ踏んだ後で改めて様々な書物にあたりその知識を広めていけば、誤治をすることが極めて少なくなる。

有能な者は、これを胸中でじっくりと熟成させ、掌中に収めているものである。

これは、他人に対してするのではなく自分に対して行なって、じっくりと深めていくことである。慎んでこれを行い、これを宝とすべきである。








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