方剤を制し薬を用いることは、医家が先ず最初になさねばならない最も重要な事項である。
胸中の神見はこの後に発揮されるのである。
気味の用い方を知らなければ薬性について精しいとは言えず、効果を得ることもできない。どうしてこのような状態で神見を発揮することができようか?
薬の気味の中には最も玄妙な真理がある。浅薄な知識で軽々しく意見を言うことはできない。
私は少年の時、薬を用いる時はいつも、そのひとつひとつを十分に味わい、気味のなんたるかを知った。こういうことをしていく中で得たものは私には非常に大きかった。
一、気味には陰陽がある。
陰は降、陽は昇。陰は静、陽は動。陰は柔、陽は剛。陰は怯、陽は勇。
陰は精を主り、陽は気を主る。
その善悪喜悪の全てにおいて妙用がある。よく理解しなければならない。
一、気味には升降がある。
升は浮いて散じ、降は沈んで利す。
升らすべきものは下してはいけない、降すべきものは升らしてはいけない。
一、気味には動静がある。
静は守り動は走る。
走るものは巡らすのによい。
守るものは安んずるのによい。
一、気味には剛柔がある。
柔は純粋で緩め、剛は躁であり引き締める。
純粋なものは和するのによい。
躁のものは脅かすのによい。
剛が足りない場合はその暴を取り去ってはいけない。
柔が足りない場合はその剛を済けてはいけない。
一、気味には勇怯がある。
勇のものは病所に直接達して特殊な効果を出す。
怯のものはその全体を用い、その平安を与える作用を利用する。
一、気味の、気を主るものは精の母をなすものであり、精を主るものは気の根をなすものである。
気味が陰中の陽であるものは、よく血中の気を動じ、
気味が陽中の陰であるものはよく気中の精に影響を与える。
一、気味には善と悪がある。
善のものは本来の性質が馴れやすく良質のためそのまま用いることができる。
悪のものは気味に荒々しさが残っているので、あえて使用する必要のない場合は用いない方がよい。
一、気味には喜し悪しがある。
素性の喜し悪しがあり、その状態に応じた一時的な喜し悪しがある。
喜いものは他の薬剤との相性がよく非常に効果を得易い。
悪いものは他の薬剤に相性の悪いものがあり、強いて使用しない方がよい。
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