《諸篇錯綜の図》



一団の原気が、百骸〔訳注:全身〕を弥綸している〔訳注:すっぽりと糊で封をしたように継ぎ目も見せず包みこんでいる〕状態の人は、健康な人です。もし少しでも充実していない部分があれば、それがすぐに病変を引き起こします。そのような時には、その人の生気をその部分に誘い導くようにすることが、その治療法となります。このような生気を候い知る方法が脉診であり、このような気の状態を説いている経典が《難経》です。《難経》はその八十一篇によって、一原の妙悟〔訳注:一原の原気についての深い理解〕を起てているのです。そのため、その言葉の意味や内容は全て一気の玄要〔訳注:一原の原気そのものの深い理解〕に帰して考えていかなければなりません。玄迪先生〔訳注:中島玄迪:「序」の筆者〕は、「《難経》は元気を説いた書物である」と語られています。この一言で《難経》を語り尽していると言えるでしょう。


人身における一原気とは、道が一を生じ、易に太極があるようなものです。



一元流
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