中焦穀府 第十七節 服薬




服薬する際には、上薬も下薬も用いる薬をすべて合わせて、煎じたり散薬にしたり丸薬にしたりします。これらはすべて先に胃に入り、その後に胃から出て表に達し、頭に上り足に下っていきます。胃に入るより前に、先に主る病所に至るわけではありません。

尋常の飲食の多くは、気味は平で和順ですですから、全身に調和して、めぐるところが偏りません。〔訳注:けれども〕薬剤はそうではありません。人参や黄耆の類であっても、すべてその気が偏っているものです。ですからこれが胃に入って蒸されると、胃の中から偏ってめぐり、それぞれその気の親しむところに別れて行くわけです。麻黄湯などは、麻黄と杏仁とを同じ剤にしますが、麻黄は表に達し杏仁は反って気を引いて下行させます。たとえば一つの(みの)を用いて米をよる際、米は箕の中に集まり、糠は下に集まり、糠の細末は上に散り、その片片たるものは四方に横散することと同じで、すべての薬は胃の中から同じように蒸し出されますが、それぞれその気性に従って、上に行き下に通じ表に散じ裏に集まって、その効能を尽すわけです。



一元流
医学三蔵弁解 前ページ 次ページ