3、何がコントロールされたのか

3、何がコントロールされたのか






アメリカ軍による日本占領によって、極秘の検閲によって自由な言論が封殺されたことによって何日本人の心に刷り込まれていったのでしょうか。







まず第一番に挙げなければならないことは、アメリカが自由と民主主義のために正しい戦争を行ったことに比し、日本は残虐無比の侵略戦争を行ったという刷り込みです。アメリカの正しさを証明することの邪魔になるような事件、原爆の悲惨さ、大都市空襲という無差別殺戮、民間船への無差別攻撃(これによって沖縄から脱出できない民間人が増加し、沖縄戦の悲惨さを増幅させました)、さらには占領中のソ連と米軍兵士による強姦・暴行・略奪・捕虜への虐待といった行為も隠蔽されることになりました。

またアメリカは自国が文明国であることを思わせるため、それを邪魔すると考えられた、黒人問題などの社会の暗部にかかわる映画の輸入を禁止しました。

これに派生して興味深いのは、京都を空襲しなかったのはアメリカが文化財を守ることに対して深い理解があったという論です。ところが実はこれは、アメリカが原爆の効果判定を行うために無傷の都市を残しておこうとしていただけのことなのですね。この事に関してはhttp://www.asahi-net.or.jp/~ku3n-kym/heiki7/reizen/reizenに詳しく記載されていますので参照してください。







そして二番目は、国家の上下の分断です。今でも中国共産党はこれをよく語りますが、『一般国民と支配階級とを区別し、前者に罪はなく後者にのみ戦争責任がある』という思想です。この裏にはマルクス主義の階級闘争史観があり、また、厭戦感情や、敗戦になっても反省しない官僚への反発も手伝って、強力に潜在意識の中に染み込んでいきました。この感覚は、日の丸君が代への反発や、政府を批判することが報道の「責任」であるというようなマスコミの感覚の中に生きています。極端な平等思想によって、子が親や教師を馬鹿にし、ひいては社会や大人たちに対して抱く無意識のうちの反感も、ここに起因しているのでしょう。







三番目は、国家の歴史の分断です。戦前はすべて悪とし、戦後アメリカ軍によって真の自由と民主主義がもたらされたという、解放思想によって、このことは補強されることになりました。これは、中国がチベットを侵略していながらそれを、チベットの人民を解放したのであると強弁している姿勢とよく似ています。

歴史と分断された戦後世代にとって、戦前につながるものは暗黒の時代という印象であり、それを支えてた愚かな父母や先祖の過ちを、自分たちが担っていかなければいけないという意識を持つことになります。この結果、戦後世代の一部には、愚かな祖父母への軽蔑と、それに連なる、日本の歴史への断罪意識が芽生えてきました。それは、現在に至る「迷惑をかけた周辺諸国への謝罪意識」に見てとることができます。

二番目の国家の上下の分断が空間的な分断であると考えれば、国家の歴史の分断は、時間的な分断と考えることができます。神州不滅と教えられていたその日本が敗戦したわけですから、こういった「日本」に対する深刻な不信が、当時の日本人の心の空白に深く染み込んでいったことはよく理解できます。

しかし、悠久の歴史をもっている日本国にとってこれは、自己否定ともいえるようなものです。自己の完全な否定によって、自己否定をさせたものに盲目的にしたがい、その思想を提唱した者よりも、はるかによく徹底して実践するということは、マインドコントロールの眼目と言えます。オウム真理教の信徒がとても真面目で、実は教祖よりも修行しているようにみえることを連想させられます。このことが国家的な規模で引き起こされたわけです。

ただ日本の歴史において救いなのは、皇室がまだその連続性を保って厳然と存在し、国民の支持を受けているということでしょう。日本の歴史をどのように解釈し、その歴史をどのように継承して日本の未来を作っていくか、そのことが現在、衆参の憲法調査会で行われていますが、さて、どのような憲法(国家観)ができでくるのでしょうか。







四番目としてあげられるものは、以上三種類の概念を総合するものとして大きなメルクマールとなった、東京裁判です。ここでは、戦勝国の戦争犯罪、原爆や大都市の無差別爆撃、沖縄戦での殺戮、日本人捕虜への残虐な扱い、大戦末期のソ連の侵攻による満州での略奪強姦殺戮よおびシベリア抑留という捕虜への虐待、北方諸島への戦後の侵略、中国による日本人居留民への略奪殺戮強姦などは問題ともされず、すべての責任が敗戦国である日本の指導者にあるとされ、犯罪者として一方的に裁かれたものです。これはまさに、歴史に残る国際的不法行為であると言えましょう。

東京裁判に関する不当性を強く主張しているホームページにhttp://www.geocities.com/TheTropics/Paradise/8783/tokyot.htmlがありますので、参照してください。







五番目は、なんといっても、占領下で強引に制定された日本国憲法です。この憲法はまさに、戦争犯罪国家である日本の根幹である大日本帝国憲法を廃棄し、アメリカの身勝手な理想主義を日本に押付けたものです。敗戦国を占領した軍隊が、相手国家の根本法典である憲法を改正させるということは明確な国際法違反です。国際法を守ることよりも、日本を徹底的にたたきつぶすということが大切で、その通りの超法規的戦略を日本に対してアメリカは施したのだということが、このことからもよく理解されます。

このような国際法を無視した行いを平然と行なうようなアメリカ軍が、日本を東京裁判で裁くということがいかに不当なことか、よく考えてみなければなりません。







これらのいわゆるウォーギルドインフォメーションと呼ばれる日本弱体化作戦は、戦争に対する疲労と嫌悪感、敗戦によっておこった日本の伝統に対する信頼への揺らぎにうまくフィットして、見事な成果を納めました。それまで、君民一体となって国造りに励んでいた日本という国家を、それは内面から分断し解体しようとするものでした。このような伝統の解体は、まさに共産主義の革命方法と通じるものがあります。そのため、アメリカ占領軍が日本に対して行った占領政策は戦後、共産主義思想とうまく結びついて、現在に至るまで日本特有の病気としてマスコミや教育界を中心として拡大再生産されていくことになりました。






2001年8月30日

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