この患者さんの場合、明確に腎虚の徴候を示しています。
けれどもこれは加齢によるものではないということは、睡眠状態に異常が見られなかったり夜間排尿がないということから明らかです。
また、舌の状態が淡白舌薄白苔で、湿潤、歯痕があり、上背部に発汗が著明なことから気虚が非常に疑われるところです。
ただ、合谷や太淵の反応がないことから肺気の根本的な虚損は存在しない。
食事の仕方が乱暴であるにもかかわらず、それほど重症の脾気の虚損が見られないことから、これも疲れによる一時的なものである可能性が高いと思われます。
ただ、督脉が緩んでいるという形状としての虚損がみられることから、もしかしたら本来的にはマラソンをやるほどの体力を持っている人ではないのではないかと考えられます。
【証】腎虚
【治療指針】補腎益気
【処置】左腎兪16分置鍼。左外踝千年灸二回
肺兪付近の発汗が取れ、舌色が赤みを帯びてくる。
きつい歯痕が緩む。
右太巨の冷えは取れる。
腎兪の戻り方は五割程度。そこで、灸を五壮加えると、さらに半分ほど腎兪が戻る。
靴下を履くのが楽になったと喜ばれました。
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