病因病理:弁証論治


飛行機に乗れない弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



まず、切診で舌の震えがみられたこと、問診で気を使った後に体調が悪くなるこ とから、肝気を張って生活しやすい、つまり緊張しやすいタイプであるというこ とが見受けられる。

中学1年の頃、初潮が始まると生理によって肝気鬱結が起きやすくなるが、朝礼 で肝気をはっているときに、人が倒れるのを見てしまうと自分も気持ちが悪くな ったりするようになった。

これは、肝による鬱熱が、真夏であったこともあり上逆しやすかったからではな いか。

25歳の時には、3日間寝ずに子どもの看病をして肝気を張った。またこの時も 真夏であり、上逆しやすい鬱熱に加えて、寝ずの看病による腎気損傷で相対的に 心熱を持ち動悸を生じるようになった。ただし、この時の腎気の損傷は、若い時 期でもありほどなく回復している。これは二人目の出産が特に問題なかったこと からも伺える。







38歳でアパートの住人と立ち退き交渉をしたときは、肝気横逆となり胃痛が 起きた。この時のできごとはかなりのストレスで、肝鬱が凝滞し胆石が生じるま でとなった。また血圧も変動しはじめた。この事件はかなり腎気を損傷したと思 われる。その後も胆石の発作が起きることがあり、42歳の時に胆石の手術をし た。手術後の経過は順調であるが、手術による腎気損傷、生命力の低下した状態 は回復に時間がかかっているためか、腎気のバックアップの低下により脾の虚損 も起きたと思われる。胆石の手術後、油物が苦手となった。しかし、夜たくさん 食べるとダメだが、昼はたくさん食べても平気ということから、もともと脾胃の 器が小さいわけではないことがわかる。たくさん食べて夜に脾胃が消化機能を行 うとき、本来なら夜は休んで腎気を養うべき時間であるのが脾胃をバックアップ する腎気も働いてしまうため、体調が悪くなると思われる。

44歳の時、長女が結婚するが、結婚前にバタバタすることが多く、この時も 肝鬱によりさらに腎気を損傷した。不安や恐れは腎に属する。腎気が低下したた め、不安を生じやすくなった。

また、腎陰虚に加えて脾の虚損もあるため、陰虚熱による心熱はさらに増し、 新婚旅行のときは平気であった飛行機に対して、主訴である「動悸が起きそう、 血圧が変動しそうな不安」を感じるようになった。







49歳になると目がショボショボし始める。これは加齢によって肝腎の器がもろ くなり始めたものと思われる。

51歳の時、次女が結婚する。この時もバタバタして肝鬱による疲労を起こし腎 気も損傷しているが、55歳現在の問診の状態では、排尿関係に問題が見られな いこと、翌日に疲労が残ることがめったにないことなどから、年齢による腎の器 のもろさはあるものの、腎気はある程度回復したものと思われる。

ただし、食後にお腹が張ったり胸焼けがすることがあること、だいたい軟便であ ること、太っているわけでもないのに脾募があることなどから脾気の低下はまだ 回復できずにいる。

もともと肝気横逆が起きやすく肝鬱があると胃痛が起きてしまう素体であるため、 脾気は回復しにくいと思われる。脾気の低下は陽気不足を引き起こし、クーラー が嫌い、風邪を引きやすいという状態でもある。







55歳の時3月に旅行に行った。その後家でマッサージの機械を使ったあたりか ら右ひざに違和感を感じ始めた。特別いためたわけではなく、場所も肝経の経絡 上であることから、旅行による肝鬱がきっかけで、肝経上に気滞が起きたものと 思われる。

この後風邪をひき、腎気が落ちたため脾気も低下し、便秘をしてお腹が張る。セ ンナで便を出すが、熱を落としたため身体は冷え、さらに脾気が落ちた。この時、 3日間夕飯を食べすぎて胃がおかしくなった。その後は、脾気落ちが続いており、 夕飯を食べすぎた後翌日にはおかゆにしてキャベジンを飲まないと回復しないと いう状況を繰り返している。

この、脾気の低下による陰虚熱からおきる心熱がとれないため、飛行機に対す る「動悸が起きそう、血圧が変動しそうな不安」がなくならないものと思われる。




弁証論治



弁証:肝鬱、脾虚、心熱

論治:健脾、必要なら疎肝理気







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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