帯下の作用




《霊枢・口問》に、『液は、精をうるおし空竅をうるおすものである。』 とあり、《霊枢・決気》に、『食物が入ると気が全身に充満し、じわじ わと骨髄に滲みだしてうるおし、関節の屈伸ができるようにする。この 水穀の精微は、脳髄を補益し皮膚をうるおす。これを液と呼ぶ。』とあ り、《霊枢・五癃津液別》に、『五穀の津液が和合して膏〔訳 注:あぶら〕となるものは、内に骨空をうるおし、脳髄を補益して、下 に陰股〔訳注:大腿内側、陰部に近い所〕に流れる。』とあります。こ れらの言葉は、液の性質が粘稠でつやがある膏のようなもので、うるお す作用と補益する作用とを備え、陰股に流れてそこを充分に養い、前陰 の空竅をうるおしているということを示しています。《血証論・崩帯》 には、『帯下もまた正常な月経のようなものであり、その分泌のしかた にも法則性がある。もし脾経土気の調和がとれていれば、帯脉はすっき りとおちついていて、子宮内の水も清らかで調和がとれている。このよ うな状態のときに腎中の天癸の水〔訳注:精子〕を得れば、まさにもっ とも妊娠に適した時期であると言える。』とあります。これは、帯下の 状態と生殖との関係を示したものでありまた、生理的な帯下の量と質が 月経周期にしたがって変化するという観察結果を示したものでもありま す。









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