服薬する際には、上薬も下薬も用いる薬をすべて合わせて、煎じたり散薬にしたり丸薬にしたりします。これらはすべて先に胃に入り、その後に胃から出て表に達し、頭に上り足に下っていきます。胃に入るより前に、先に主る病所に至るわけではありません。
尋常の飲食の多くは、気味は平で和順ですですから、全身に調和して、めぐるところが偏りません。〔訳注:けれども〕薬剤はそうではありません。人参や黄耆の類であっても、すべてその気が偏っているものです。ですからこれが胃に入って蒸されると、胃の中から偏ってめぐり、それぞれその気の親しむところに別れて行くわけです。麻黄湯などは、麻黄と杏仁とを同じ剤にしますが、麻黄は表に達し杏仁は反って気を引いて下行させます。たとえば一つの
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