主訴:問診


病因病理



この症例での主訴は頭が重く微鈍痛と言うことだが、その他にも多数の不定愁訴 がある。

幼少期から問題はたくさん見られているのだが、二十歳以降からマラソンを始め るまではほとんど記述はなく、主訴や車酔い、風邪を引きやすい体質はあるものの、限定的のように見受けられる。

たとえば風邪についても、幼少期は高熱などで寝込むようなものだったが、 成人してからは軽いものであり、一般よりも弱いとは思われないレベルであるし、 車酔いについても、おそらく幼少期の体験によるストレスで肝鬱をおこし、フラッシュ バックしたような状態が一時的に起こることが時々合ったと言うことだとも考え られるのではないだろうか。

主訴についても、学生時代よりもストレスは多かったと思われるのだが、 痒みなどは全く出ず、むしろ頭重のみで耐えてきたとも言える。一時的に脾が損 傷を受けていたと思われるが、回復も早かったのだろう。

ストレスと言うのは、就職や転職の他に、幼少期から盲学校という狭 い世界で生活してきたところから、一般社会に出たという大きな変化と、学生中 は体育や放課後の時間、体育系の部活などで体を動かせたのだが、就職してから 体を動かしたいと言う欲求がたまっていたことなど、けっこう多岐でしかも深刻 であり、かなり強い肝鬱をおこしていたと思われる。 それにもかかわらず主訴のみで耐えられたということである。

そのように考えて見ると、幼少期の五臓の軋みは器もそれなりに盛長し、解決し てきたと考えられ、今回の症状は過度なマラソンとリストラによるス トレスが直接的な原因と考えることができる。







28歳にパソコン通信をきっかけにマラソンを始め、最初のうちはストレスを解 消でき良い方向に行っていたと思われるが、徐々に力がついてくると記録への欲 望が出て練習量を増やし、徐々に腎気を損傷していったと考えられる。 それは朝方の下痢やハードなトレーニングの後の不眠などがあり明らかである。

またリストラの一年前頃からは職場でもめごとが徐々に起こり、肝鬱も強くなっ て行き、上記の腎気の損傷とあいまって32歳の春には幼少期に起こっていた全 身の痒みを再発させ、また汗も出なくなった。汗が出なくなったのは、肝気の立 つ春に強い肝鬱により肺気を緊張させ、腠理の開闔が不利となったと考えるこ とができる。

またこの時期の少し前より風邪を悪化させるようになり、風邪を引いたさいに皮 膚が過敏になってきており、特に腎気の損傷と強いストレスのかかるフルマラソ ン大会の後(11月、2月)に顕著である事からも肝鬱が肺気を過剰に強まらせ ていることが伺える。

そして腎気の損傷とストレスがピークに達した時期にリストラとなったのである。 そこからやる気や根気の低下が起こり、また楽しみで始めたマラソンも止めてし まった。

マラソンを止めたのは身体からの悲鳴によるものであり、この時期にとりあ えずやめてよかったと考えられる。







そして現在まではまだ定職もなく、ストレスを発散するスポーツもやらずで相変 わらず肝鬱がたまったままで中途半端な生活を送っている。そのため比較的頼りにしてきた 脾にまで影響を及ぼし、残便感や油物の摂取での胸焼けなども起こすようになってきたのである。

ここまでは時系列を追って見てきたのだが、ここからは主訴を中心に考えて見る。 部位は主に陽明部であり、重だるい痛みと言うことからも脾による頭痛と考えら れる。 しかし比較的元気だった時期にも症状は見られるが脾の虚損をうかがわせる指標 はなく、飲酒による主訴の悪化がないのに対し、デスク作業などで悪化している ことからも、この症状は、脾そのものの困窮と言うよりも肝鬱が脾に影響して起 こっていると理解することができる。

整理して見ると、さまざまな場面で肝鬱の影響を伺わせる指標が多いことが分か るため、弁証は肝鬱気滞、治療は疏肝理気して、脾気、腎気の様子をみていく。









弁証論治



弁証:肝気鬱結

注意点:1. 人生設計をきっちり決める。(できれば大まかなタイムテーブルを 作る)

    2. 適度な運動を行う。

    3. 暴飲暴食を避ける。

    4. 過度な運動は避ける。







主訴:問診

時系列の問診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治











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