治療指針:生活提言


肩の痛みの弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



主訴の肩の痛みは、1年前に左の小指からはじまり左肩が痛み、今年の11月よ り右の肩前面が痛み、同時に膝、腰などが痛みが出現しています。肩以外の痛み は、自然と治るものの、再び痛み、痛む場所があれこれ移動します。また、全て の痛みは、朝おきぬけが辛いとのこと。







40代の後半から、こむらがえりがおこるなど、肝の陰陽のバランスの悪さが伺 われます。

生理があると、きつい肝鬱状態があっても下に通じることによりある程度肝鬱が 解消される可能性となります。

しかしながら閉経により肝鬱が下に解消されることがなくなり、肝気の鬱滞がより強く なったこと。また年齢的に腎虚傾向も加わったため便通が非常に悪くなったと思 われます。週に1度で、出ないと嘔吐したり気分が悪くなるなどきつい気 逆状態を思わせるものであります。またここまで便通が悪くなるのも、もともと の脾気の弱さもあるのでしょう。

このきつい脾虚肝鬱状態が続く中、精神的なストレスがくわわったため、 胃に潰瘍ができるという状態になっています。つまり脾虚肝鬱状態から、一歩進 んで肝気が脾胃を犯してしまう状態にすすんでしまったということです。







このように、肝気の鬱滞、脾胃をいためる状態、そして腎気の年齢的な落ち込み、 が続く中、1年前の柿の季節に左の小指の痛みに始まる、左肩の痛みと、全身の だるさ、やるきのなさが出現しています。

これは、いままでの脾胃の弱さ、肝鬱状態が柿の多食という飲食不節により、脾 の陽気が奪われ、一段と器を小さくしてしまったのではと考えられます。脾の陽 気不足により、肩関節を温陽できないために肩の痛みとなり、また同様に、脾気 が心気を養えないために、だるい、やる気がでないなどの心痺両虚の状態となっ てしまったのではないかと考えられます。

身体を補うことがなかったため、この状態で1年経過し、ふたたび柿の多食の季 節になり、飲食不摂により、また脾の陽気をいためる状態となり、冷えで便通が つくようになっています。







便通が柿で付くということは、かなり柿でおなかが寒え、冷え降しをしていると 思われます。身体の状態がよいときであれば、下に通じることのほうが身体にとっ てメリットとなり便通がつくだけで済んでいたのでしょう。しかし、閉経から続 いている肝鬱状態と、一年前から続く、心痺両虚の状態の上に、身体がよ り冷えにさらされ陽気不足となり、これに、11月18日というはっきりとした日 付の記憶があるとおり風邪を引き込んだのと思われ、肺気の弱りとなり右の肺経の 始まりである部位からの肩の痛みとなっていると思われる。

今回は、肩の痛みだけに停まらず、全身の関節の問題へと波及し、右の膝、右の 臀部の痛みと広がりをみせ、朝の関節の痛み、痛みの移動をともなう状態となっ ています。







ご本人には風邪の自覚がないものの、大椎の寒えや身柱の発汗、右の肺兪の陥凹、 左の列缺の寒え陥凹から風邪の引き込み、内陥が明瞭です。

また、大巨から関元にかけての下腹の寒えや脾兪、三焦兪の弱りや抜けは、 脾腎の陽気不足や支えのなさを物語っています。

年齢的な腎気の弱り、
風邪の内陥、
肝気犯胃による脾胃の弱り。
ストレスによる、心気への負担
柿の多食による冷え、

上記により発症した痺症であると考えられます。







大巨、関元の寒えが明瞭であるものの、睡眠、小便などの状態がよいため、 腎気の落ち込みは年齢相当のものと思われる。この経穴の冷えは柿の多食のため かもしれないと考えられます。

脾胃の問題は、ここ数年のストレスで潰瘍を起こしてしまうほどであり、 また、肝気の鬱滞も一番の症状としては便通異常としてあらわれるように、脾胃 に負担がかかりやすいタイプであると考えられます。




弁証論治



弁証:痺症(風邪、脾虚)

論治:風邪を払い、脾気をたてる。







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言

治療経過











一元流
しゃんてぃ治療院
ビッグママ治療室