治療経過


からだの左側の痛みとだるさの弁証論治
病因病理:弁証論治:生活提言




病因病理



主訴は左半身の痛みとだるさである。

20代初めに非常にハードな生活の中で主訴の一部である左の肩のこわばりが出現。

これは2,3年に1度の発症であり、全身の疲れの中気虚をおこし、偏り疲労により左肩甲骨内側という局所に気滞をおこし取れ難くなった状態であろうと思われる。若かったことで、臓腑の病とはなっていかなったので、薬などですぐに解決できたのであろう。しかしながら、このころより、肝臓の検査で数値が高いなど、徐々に臓腑の問題に波及しつつある状況でもあったと推察できる。

臓腑の問題に波及しつつあったものの、土台の生命力が補われることなく生活が続いたので、

20代後半には左下肢にも同様の痛みやだるさが発症。全身の中で左半身に気滞をおこし症状となりやすい状態が続いていたものと思われる。







34歳ごろからの体重の減少、飲水などは、ご本人にとってはより健康になろうとした 努力であったはずなのに、この時点で逆に脾気をおとし、飲水により陽気をそこなってしまったと思われる。尿の症状や、主訴である症状が常時出る状態になっている。この時点での大きな生命力の低下は、ご本人の生活の変化のほか、風邪などの外風がきっかけになり内風をおこした可能性も考えられる。

現在、舌が左に歪舌であり、右足が歩くとつっかかるという状態があり、 左半身に痛みがありだるさがある。経穴診でみると手足右側経穴に冷えやつまりが著明にでており、歩くと右足がつっかかるという状況からも右半身に中風があり気虚をおこしているのではないかと考えられる。左半身は主訴となっている側だが、この痛みやだるさがあるということ自体は、左側に生命力があるということをあらわしている。舌の状態も生命力のある左側に偏っている。また、臓腑に近い背部兪穴では、左側の脾兪、三焦兪、腎兪などに 大きく生命力の弱りが出ている。これは左側のみの弱りと言うよりも、全身の弱りが、背部兪穴においては左側では顕わす事ができていると考えられる(つまり右側は、そういった経穴反応を出せない状態であるということ)

左側の少腹急結、舌の状態から、現時点での一定のオケツの可能性 大椎周りのゆるみなどの状態より、風邪の内陥の可能性、 左右差の大きい全身状態により、右半身の中風による気虚の可能性。 が考えられる。

上記により、34才ころの大きな生命力の低下は、風邪などの外風がきっかけになり、飲食の状態より脾気が弱り、陽気が奪われた状態であったため、一気に内風を引き起こしオケツを伴った中風となり右半身の生命力をきつく低下させ、主訴である左半身の痛みだるさを常時出してしまうという状態を引き起こしたと思われる。







年齢が若かったこと、中風の程度が軽かったことにより、右側の生命力を極端に奪うことがなかったため、麻痺などの重篤な症状にはいたらず、右足がつっかかる、手足末端の経穴反応が極端にでるという程度ですんでいると思われる。

しかしながら、尿の状態、背部兪穴の状態から、腎の陽虚となっているのは明瞭である。

生命力を補わず、この状態を継続させれば、再度の外風との呼応などにより、麻痺などを伴ったきつい中風となる可能性が高い。脾腎の陽気をたて、生命力をあげ、内陥している風邪を取り去ることが重要と思われる。




弁証論治



弁証:中経絡 腎陽虚 風邪の内陥

論治:温補腎陽 去風散寒 疏通経絡




治療指針



腎の陽気をたて風邪の内陥を取り去り、経絡の疏通をはかる。

生命力のある左側を中心に治療側とし、生命力の充実により右側も立ち直るように していく。




生活提言



症状の訴えとしては、左半身がつらいということですが、右半身の極端な生命力の落ち込み(一般的に中風といわれる状態の軽いものと考えられます)を左半身が支えているという状況になっていると思われます。

常時でている左半身の痛み、だるさは、全身を支える土台の生命力(東洋医学の世界でいう腎気)がかなり損なわれた 状態になっていることを示しています。

年齢的に若いということが、症状を重篤化させず、この状態で引き停まっていることが出来ている理由だと思いますが、 ご本人も感じておられるとおり、かなりぎりぎりの状態であり、ここでもう一段、深い風邪を引いたり、生命力を落とすような出来事があれば、余力のないいまの身体の状態では、後戻りできない重篤な状態となる可能性も高いと思います。

身体の生命力の左右のアンバランスを整え、冷えの入り込みを取り去り、土台の力をつけていくことが肝要だと思います。

年齢的に若い今の時点で、ある程度の回復を図っておくことがとても重要だと思われます。

34歳から健康のためにと続けている水を飲むことですが、身体を冷やし、脾 胃(胃腸の力)に負担をかけ、冷えや風邪の入り込みが深くなる可能性がありま す。積極的な飲水はやめて、日常生活の範囲の飲水にされたほうがよいでしょう。







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

施術











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