治療指針:生活提言


胃腸の乱れ弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



主訴である急性胃腸炎のような症状は、この患者さんの話によるとストレスがピークに達した頃に起こっていることから、肝気の横逆により脾気が傷られて引き起こされている可能性が高いように思われる。

この肝鬱の強さは、中学に入り運動をするようになって肝気が適度に発散されると朝食が食べられるようになったり、高校に入り運動を止めてダイエットを始めてから過食嘔吐、拒食の傾向、手足の痺れ、のどの渇きが出るなどのエピソードからも窺え、昔から日常的に肝鬱が強かったことが推察される。

この強い肝鬱が生活の中でピークに達すると肝気犯脾となり、大人になってから1~2年に1度の頻度で急性胃腸炎のような症状を起こしてはいるものの、26歳頃までは悪化傾向には無かった。







それが25~26歳頃に掛けての大きな生活環境の変化により、精神的にきついことが数ヶ月続き、ひと段落したころには急性胃腸炎の頻度が増えるようになった。この環境の変化は、日頃から張っている肝気をさらに奮い立たせることとなり、上では肺気を傷って風邪を引きやすくし、熱が上衝して唇の荒れや口角炎を頻発させることとなった。そして、風邪を引き込みやすくなることで肝気がさらに立ちやすくなり、横逆して脾胃を犯すことも多くなり、胃痛が起こりやすくなったと考える。

もともとそれほど大きくはないと思われる脾器だが、強い肝気に傷られることが多いながらも器を保ってきていたが、最近では食べすぎでなくても食べると胃もたれを感じたり、左腰に痛みがあったりと脾器自体の虚損が大きくなっているように思われる。本人は去年の夏から前より多く食べれるようになったと話していたが、これが器を鈍く脆くすることになったと考えられ、より肝気に傷られやすい脾器になってしまったと思われる。







27歳現在、去年末に引いた風邪のため仕事を休んでいたので、体自体はだいぶん楽なようで、胃痛もないようだが、ずっと休んでいたにもかかわらず、まだ風邪を完治できないでいることを考えると、肝気や脾気を支える腎気に問題はないのだろうかという疑問が出てくる。

振り返ってみると、24歳でセラピストの立ち仕事を始めてから、足のむくみ、体のだるさ、翌朝まで残る疲れ、生理の量の減少など、腎気の損傷があるように窺える。問診からはこれらの症状は悪化傾向にはないように思われるが、普段の肝気の張りが強いために自覚していない可能性は高いと思われる。

切診からも洪脈のような力強い脈や右太衝の腫れ・熱感、左肝兪から脾兪への腫れなど肝の鬱熱と思われる状態にあり、これが治療後には落ち着き、そのかわりに右腎兪の弛みや上リョウの冷えが出てくるなど下焦の表情が現れることからも、肝気の裏に腎気の問題もあるのではないかと感じさせられる。しかし問診、切診の情報からは、現在どの程度腎気の虚損があるかは定かにし難い。

ただ、現に仕事から帰ると動けないというように、日中は肝気のベールに隠されているが、その肝気が弛むと本体の気虚が出てきており、今は肝気が張れて、その肝気を張らせるだけの腎気の蓄えがあるものと思われるが、この悪循環の状態が続くと腎気の支えも失うことになり、状況はさらに悪くなるものと考える。




弁証論治



【弁証】脾の陽虚

【論治】温補健脾







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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