結婚後、自然妊娠しているが、流産。その後、生理痛は軽くなるものの、からだの冷えは 強くなっている。流産後から、西洋医学的な治療は手厚く受けるものの、妊娠から5年経過しても妊娠出来ず、主治医からはIVF-ET(体外受精ー胚移植)へのステップアップを勧められている。
もともと、気を使うと全身状態が悪化したり、人混みに行くと直ぐに頭痛がしたりなど、 肝気が立ちやすく支えとなる腎気も不足気味であるため、より肝鬱が強くなりやすいタイプではないかと思われる。腎気の支えが弱いので、陽気が発動し排卵がおこる時期に頭痛がしたり、 腎気に負担を掛ける高温期においてより腎気不足が明瞭になるため夕方より下腹の鈍痛となったりしている。肝気の生理的な高揚を腎気が支えきれていないのである。このため、生理がおこる直前では上焦で肝気が上逆して頭痛となっている。
腎気を後天的に養うであろう脾気も、大きな問題はないものの、足三里は陥凹しており、 左の湧泉から三陰交にかけて冷えや陥凹を見せている。また背部兪穴の右脾兪は二行で陥凹もきつく、腎の陽気不足により脾の陽気が不足ししっかりと機能できていない状況があり、 下痢をきっかけに体重が3キロも落ちてしまったままである。
上背部大椎周りに下から上がってくる強い冷え、左右風門、左肺兪、左右厥陰兪など上背部経穴の大きな陥凹、そして命門、左大腸兪の冷えなど、風邪が内陥していること、そして中心である命門の部分にまで冷えがあるなど、深い風邪の陥凹と腎陽の不足を感じさせる。
この状態にいつから陥っているのか判然とはしないものの、流産後から強い冷えをご本人が感じていることから、流産により肝気鬱結の状態は多少改善し生理痛が減ったものの、脾腎の陽気を強く損なったため、再度妊娠することが出来ず現在に至っているのではないかと考えられる。
弁証:
風邪の内陥
脾腎陽虚論治:
疏風散寒、補肺
温腎補陽 益気補脾
|
|
|
|