手足の冷え、血便、不妊弁証論治


手足の冷え、血便、不妊弁証論治
治療指針:生活提言




治療指針



瘀血の固定的な問題は、西洋医学とも連携を取り速やかな解決を心がける。

腎の陽気をたて全身を温陽することで瘀血を生じさせないことを中心としながらも、 肝気を払い全身の気血の動きをよくしておき瘀血を動きやすく排出しやすくしていく。







人間は、一つのくくりを持った器として存在しています。

器を観察するときに、私は、その器の大きさ、密度、敏感さといった観点からみています。

Mさんの場合、器としてはある程度の大きさをもち、また敏感に反応できる感度をもち、 充分とは言えませんがそれなりの密度をもって存在していらっしゃると思います。

ですので、睡眠、二便、食事に大きな問題がなく、現時点で、ご自身が、さしたる不健康な状態とは思えないとおっしゃるのももっともなことだと思います。

しかしながら、敏感に反応するということは、良い方向性にも、悪い方向性にも向かう可能性を孕んでいます。







たとえば冷えによって、風邪を引いてしまうとき。敏感な人であれば、さっと身体が感知し、排除しようと身体の力を使っていきます。

Mさんの場合は、この敏感さは十分あるのですが、敏感に反応したのちに身体を健康状態に保つような方向性での排出がなされない傾向があります。身体が問題を生じたのち、その場(歯茎、卵巣、大腸など)に長く留まってしまい、問題が固定化してしまうということです。この方向性は、もともとの素因からの影響であると考えられます。

20歳の頃から感じられている強い冷えは身体を温める力の不足(腎の陽虚)をしめしています。また体表観察からもわかる身体のストレス状態(肝鬱)は気の巡りの悪さをしめします。そしてこの冷えと肝鬱の両者があることで、より気血の巡りが悪い状態となり、瘀血という状態を生じさせやすくなります。舌の裏の舌下静脈の怒張、皮膚表面に現れる血管の浮きだしである細絡、皮膚の粗さから、現時点の瘀血の状態を推察できます。そして体表観察から得た、脾胃の状態の悪さは、内湿(身体の内側に不要な成分である東洋医学でいうところの痰飲)を生じやすいという状況も示しており、それらが瘀血と絡み合うと、また問題を深くするであろう可能性も示しています。







現在Mさんはご自身で身体に気を配り、心身ともに健やかになさっていますし、トラブルがあっても大きな病的な問題まで発展することなく経過できていると思います。これは現時点でお腹や背中も温かく、全体にご自身は健康だとおっしゃる認識ともつながっていると思います。

しかしながら、もともとの素因である『問題が固定化しやすい』という要因に、冷え(腎の陽虚)とストレス状態(肝鬱)が加わるため、症状がご自身の生命力で排除できないレベル(きつい瘀血)となり、手術などで除去しなければ、ご自身の生命を脅かすような問題にまで発展してしまう可能性を孕んでしまっています。また、年齢が若く敏感であるということは、このような状況の時には、速いスピードで問題が深くなるという可能性も高くしてしまいます。







肝鬱(ストレス状態)というのは、人間が生きていくときに、意思の力を強く持って前進していくということでもあります。気を張って前向きに生きていくということは、Mさんご自身の生き方を応援するものでもあります。しかしながら、過度な肝鬱は、自分自身の肉体側にも負担をかけ、気血の巡りを悪くする要因ともなります。健やかな生きる意思をもちながら、それが過度にならないように調整していくことも大事でしょう。また冷えの問題も、少し根が深いようですので、歩くことや自転車などの軽い運動を心がけ、身体を温めることをしていきましょう。少し個性的な器ですので、上手に乗りこなしていくことが肝要です。ご自身のいままで心がけられている状況は、方向性としては正しいと思いますので、もう少し用心深くつきあうようにしていくことがポイントとなるかと思います。

妊娠をするためには、冷えの問題(腎の陽虚)と、ストレス状態(肝鬱)の調整が大事です。身体を暖め養い気血の巡りをよくしておくことが妊娠出産への大きな力となります。 気血の巡りを悪くしてしまう身体のストレス状態を取り去るために定期的に鍼灸などで手を入れながら、ご自身では、温灸や歩くことを中心とする運動をお勧めします。規則的な日常生活は身体を養います。







出産は女性の人生にとって大きな身体への負担となる出来事です。このときに、生命力を手放してしまい虚損病のきっかけになることもあります。 逆に瘀血を排出しより健康になることもあります。

どちらの方向に向かうのかは、出産時点でのご自身の生命力が一番のポイントです。 よいリズムに乗り、妊娠を上手に経過させ充分な状態で出産に向かうことが出来れば、ご自身の生命力を高める方向性で出産イベントが乗り切れ、同時に瘀血も去り、ご自身の健康を高めることも出来ます。よい循環にのれるようにしていきましょう。







平成24年春 無事に3000グラムオーバーの男の子をご出産なさいました。

無事の安産、おめでとうございます(^^)







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病因病理:弁証論治

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