妊娠希望から4年たつも妊娠が成立しないという訴えである。
35歳で結婚後、つねに睡眠不足で腎気に負担をかけ気味な生活が続いている。
体外受精をはじめてからまもなく左肩の凝りを感じている。頻度は少なく 目立つ不随症状はないものの、腎気に負担がかかり続ける生活の上に、下焦により 大きな負担がくわわったため気の上逆がおこりやすくなってしまったのではないかと思われる。
また、生理前にイライラや胸の張りなどがあることも気が上逆しやすい状況を思わせる。
間食が多く、便が付着しやすいこと、前頭部の頭痛がおこりやすいことや、広く広がる脾募、公孫の陥凹などから、脾気の弱さも明瞭で、とくに、背部腧穴をみると、左の胃兪を陥凹のトップとしそれを根として左の胆兪、脾兪と陥凹が続いているのは、 かなりの長期間にわたって脾胃に負担がかかり続けている可能性を伺わせる。
脊柱をみると、神道を中心とした部位、中枢を中心とした部位などに 動きの悪さ、落ちている感じ、発汗などがあり、督脉の不安定さから腎気不足が 明瞭である。肺兪の発汗、合谷の動きの悪さなど風邪の内陥を伺わせる上に、肌肉の薄さから脾気肺気の弱りも感じる。
腎気が督脉の不安定さをともなっており、かつ脾気の弱りも明瞭であり、肺気不足もあり全身が気虚気味であると思われる。
睡眠不足に対しては昼寝で対応し、生活全体も無理なく過ごしているので、 明瞭な問題は出ていないが、気虚気味の全身状態の中、不妊治療によって負担がかかることで、気逆が強くなり、また風邪の内陥も気逆を強くし腎気への負担となっている。
弁証
腎気を中心とする気虚肝鬱 脾虚
風邪の内陥論治
益気補腎 疎風散寒
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