30歳過ぎに転居で見知らぬ土地に来たことでの緊張や不安は、精神的な過度な緊張状態を継続的 に引き起こしご本人の脾腎の器に過度な負担をかけ、無気力で気分が落ち込みがちになるほどに なってしまったと思われます。
主婦として暮らす生活自体に無理がなかったため、日常生活に困るほどの程度ではなかったものの 下焦の力がなく、上焦に過度の気滞があるという状況では、妊娠の希望があってもなかなかかなわず、 そのことのストレスも重なり、肝鬱がよりきつくなり、支える腎気にも負担をかけていったため、肝胆の 経筋経絡に負担がかかり右でん部の痛みで朝起きれないという状況にもなったと思われます。
お体を拝見すると、一番目立つのが心下のつまり、臍の両横の盛り上がり、肝の相火アリ、 そして気海から関元への抜けです。
これは、全体的にはストレスなど緊張感があり、上部では心下のつまりという鬱滞の 状況を示し、下焦は抜けて力不足を起こしているという全身状態を示しています。
臍下丹田の抜けた状態、列缺から霊道のかげり、舌の胖嫩、脉の細さ、腎兪の抜けなど、 身体の土台の力の弱りである腎気の弱りが明瞭で全身の気虚の状態になっています。
また、食欲不振、空腹感や食事に対する美味しく感じることの少さ胸焼け腹脹、便が出切らない、 便が付着する状態、足三里の亀裂などから、後天の本を生み出す脾気も弱さをみせ、 腎気へのバックアップの少なさを思わせます。
もともとそうであったのかは判然としませんが、強い肝鬱状態は支えとなる脾腎の土台の器を より小さくしてしまうという悪循環をつくり、脾腎の器が小さいから肝鬱はきつくなり、 肝鬱はきつくなるから脾腎の器に負担がかかるという状況になってしまいます。 この状況では妊娠希望があるものの、妊娠に重要な腎気も足らず、暢びやかな肝気の張りも ないという状況になってしまっています。
弁証
1)脾虚肝鬱
2)腎虚論治
1)疏肝理気益気補脾
2)益気補腎
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