32歳の女性。
28歳の時に結婚、すぐに妊娠出産。
1年後に断乳し、その後妊娠を希望するも1年半の間、次の妊娠に 致らないと言うことである。
子供のころはしもやけが出来るほど手足の冷えが気になっていた。大人になり しもやけは出来なくなったが、冷えは常に辛く、クーラーや冬に悪化。腎の陽気不足を 思わせるものの、28歳と年齢が若かったのですぐに妊娠することができたのであろう。
もともと、生理前の肝気が盛んになる時期に腰が痛み眠気がでるなど、身体の自然な陽 気の高ぶりを支える腎気が弱いために肝鬱になりがちであり、そのため生理に塊がまじ ったり生理痛が薬を飲むほどであった。また脾気の弱さが多少あるため便通が3日に1回 ほどでお腹が張るなど少し肝気を張る必要があった。脾腎の弱さを肝気を張ることでカ バーしてきた素体がある。
妊娠中の冬、ふたたびしもやけが出来るようになる。妊娠中という身体の中心に 陽気の塊をいだいていながら、胎を支えることがご本人への負担となり腎気を一段と 落としたため腎の陽気不足をまねいた。もともと素体の弱さを肝気を張ることでカバー してきたので、腎の陽気を落としたことでより肝鬱は強くなったり末端の冷えがきつく なったためしもやけが生じてしまったものと考えられる。
気海の抜け、関元の奥の空虚さ。仙骨部の冷え、三焦兪のゆるみなど、腎気の弱さは明 瞭で存る。また、出産後、それまで28日周期であった生理がおくれがちになってきたの も、腎気の不足によるものと思われる。朝の腰痛、身体のだるさも腎の陽気不足からお こっていると思われる。
二人目の妊娠がなかなか成立しないのも、産後一段と腎気を落とし、腎の陽気不足によ るものと思われる。
体重の増減が多く、結婚や妊娠などで増減しやすい。しかしながらまだ脾気は割合とす こやかであり、二人目を希望し少し生活が改まると自然と体重は減っている。しかしな がら初診時の体表観察により、脾募も明瞭にあり、三陰交足三里の緩み、脾兪胃兪の陥 凹もある。もともとの便秘がちなところもあり、脾気への負担も明瞭ではある。
弁証:腎の陽虚を中心とする、腎虚肝鬱
論治:温腎補陽 疏肝理気
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