まず腎気を補い、全身の気虚を救う。
腎気がある程度安定することによって内風がおさまるのを期待する。
肝鬱が補腎の妨げとなっている場合は、理気も考える。
脾気の弱さもあるので、必要があれば健脾も行うが、食生活でも養生してもらう ようにする。
治療にあたって、生命力に左右差があることを考慮し左右のバランスが取れるこ とも目標としたい。
もともと体調を崩しやすかったり、気候の変動に弱かったりする人もいれば、あ まり不調を感じずに過ごせる人もいます。○○さんは、頭のふらつきを感じるま では、大きな問題もなく生活していらっしゃいました。生まれながらに持ってい る生命力の土台(東洋医学では腎と言います)がしっかりしていたのだと思われ ます。
この生命力の土台は、ある程度の年齢になればしだいにほころびが出てきます。 でも、バランスよくほころびが出ていれば大きな不調は感じません。弱いところ があると、その部分がほころびがきつく出てしまいます。そのため、困った症状 が出てしまうことになります。
○○さんの場合、ほころびが出やすくなる時期に、精神的、肉体的疲労が重なっ たのがいろいろな症状の原因と考えられます。
まず、土台となる生命力を増やし、余力を作れるようにしたいと思います。
生活の中では、疲労が増すような無理をしないこと、睡眠を十分にとることに気 を付けてみてください。眠りやすいようにぬるめのお風呂に入っていらっしゃる そうですが、良いことだと思いました。
気候のいい時は、疲れない程度にゆっくり散歩するのも良いと思います。
また、胃腸の調子はそれほど気になることはないようですが、実は潜在的に弱い 部分があります。閉経後に便秘になってしまったことからもわかります。現在、 舌が汚ないと気にされていましたが、ここからも胃腸の調子が万全ではないのだ と考えることができます。お時間はあるようなので、早食いはせず、ゆっくり噛 んで食べるようにしてください。
なお、文章中に「肝鬱」とあるのは、「肝気鬱結」の略でうつ病のうつとは違い ますので念のため。
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