腎の陽気を立てることを第一の目標とし、反応が出ている肺気、脾気か らもアプローチすることで気虚を救いながら腎気を助ける一助としたい。
脾気は上述したように治療の手を入れたいと思うが、ご本人の食生活か らも立て直しを図り、それで必要無くなれば、腎気のみの治療に専念し たい。
瘀血を生じるほどの巡りの悪さは腎陽を立てることで軽減される可能性 もあるが、日常生活の改善からも陽気を立てながら気血の巡りを良くで きるように指導もしていきたい。
妊娠のために受けた検査でFSHが高く、AMHも良くないとのことで、妊娠 に焦りを感じていらっしゃいますが、西洋医学的にできること、東洋医 学的にできることをしっかりと進めていきましょう。まずタイミングが 月に1回ですので、排卵検査薬を使って、タイミングの回数を増やしま しょう。それで数か月様子を見て、妊娠しなければ、フーナー検査もし くは人工授精をすることでご主人の精子の状態を調べてみましょう。そ の結果次第では、FSH、AMH、年齢などを考えると体外受精へのステップ アップが必要ではないかと考えます。
時間は限られていますので、鍼灸治療やご自身での養生も大事になって きます。お話を伺っていると、魚屋でのお仕事がかなり肉体的にも精神 的にもハードだったようですね。頑張ってお仕事に取り組んでいらっ しゃったので、体に無理が掛ってしまい、お尻を中心に冷えを感じるよ うになり、他にも口内炎や膀胱炎など色々と不調が増えていったものと 考えられます。ただ結婚してお仕事を辞められたことで、体への負担が 減り、徐々に体調も改善していきました。妊娠をご希望とのことでもあ りますので、鍼灸治療と日常生活の両方向から更なる体調回復を目指し ましょう。
まず主訴でありますお尻やお腹の冷えですが、ご自宅でもお腹に棒灸 を、背中から骨盤にお灸を、よくしてあげてください。体の中心は子宮 のあるお腹です。そこをしっかり温めてあげることは、体全体が温かく なることにも繋がっていきます。
それに加えて、日中の暖かい時間には毎日少し散歩をされると、体が温 まり、気血の巡りも良くなって、より冷えの改善になると考えます。お 身体を拝見したところ気血の巡りの悪さもありますので、歩くことは温 めながら巡りも良くしてくれて一石二鳥だと思います。
また食後の腹張や胸焼けは仕事をしていた頃に比べてずいぶんと良く なっていて、食事時間も規則的ですし、食欲もあるのですが、ツボの状 態からかなり胃腸に負担が掛っていることが窺えます。間食をよく取ら れるようですので、まずはこれを減らすところから胃腸の負担を取るこ とに取り組んでみましょう。
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