治療指針:生活提言


不妊、体質改善希望の弁証論治
病因病理:弁証論治







病因病理



主訴は不妊治療ということですが、精子側にも問題があり、顕微授精を最初から勧められて行い、1回目で妊娠に至っていること、今後も顕微授精をしていく予定であることを考えると、今後、妊娠に至る可能性は充分にあると考えられる。ただ、前回の妊娠時にOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を発症しており、ホルモン治療による身体への負担がかなり大きいことが窺えるので、その負担を少しでも軽くできるように、身体を整えていくということを主眼にしたいと思う。

この患者さんの素体を考えると、しゃべり方や、自分で自分に課題を課して期限を決めて苦労していたり、一気に動いてその後どっと疲れたりするという話からも、肝鬱が強いことが窺える。この肝鬱はもともとの性格によるものと思われ、昔から便秘がちであったり、眠くなる時間を逃すと全然寝付けなかったり、生理前、排卵時期にはイライラしたりと、肝鬱の症状が多く見受けられる。

高校生の頃から空腹になると胃が痛くなって何か食べずにはいられなかったり、時々吐き気と腹痛がして出し切るとスッキリするのも、肝気の横逆により脾胃を傷めているために起こると思われる。肝鬱に加え、かなりの早食い、間食、水分の過剰摂取も脾胃を損傷することとなっている。この脾気の弱りが大きい時は、梅雨の終わり頃から夏の初めにかけての身体の切り替えがうまくいかず、夏ばて食欲不振になると考えられる。1年の中で体重の変動があるのも肝鬱脾虚に因るところが大きいと考える。

列缺、足三里、三陰交の自宅施灸で身体がだるくなったのも、気が動いて肝鬱が緩むと本来の脾虚が出て、だるく感じたのではないかと思われる。このお灸でこんなにだるくなると言うことは、普段は肝気の張りで隠れているが、脾虚が案外大きいと考えられる。

38歳の時に風邪を引き、そのまま腎盂腎炎になり、その後数回膀胱炎を発症する。この後からより疲れ易いということから、ここで少し腎気を落としたと思われるが、1回目の顕微授精の戻しで妊娠に至っていること、睡眠の状態を考えると、妊娠を難しくするほどの腎気の虚損があるとは考えにくい。

以上のように、肝鬱脾虚はあるものの、腎気はしっかりしているほうであると思われる。この肝鬱脾虚がどの程度、不妊と関係があるかは定かではないが、身体の負担となっていることは充分に窺える。




弁証論治



弁証:肝鬱、脾虚
論治:疏肝、健脾







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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