治療指針:生活提言


月経前症候群の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



生来健康。特に大病はしていないが、小学生の頃人ゴミにで出ると頭痛が起こる事、脈診、舌診で徐々に左関上が弦になり舌戦があることより、緊張しやすく肝気が立ちやすい傾向をみることができる。又10代の頃から冬場夜間尿があり、冬が苦手で活動が鈍くなるなど多少の腎の弱さが推測される。

とはいえ、先天的な腎虚ではなく肝鬱によって軽く腎気が消耗されている程度だと考えられ、健康に生活でき13歳に初潮を迎えることとなる。

高校生の時期、鎮痛剤を服用する程の月経痛が時々あったが、月経中の痛みであり、月経後にまで不調を感じる事は無かったので主に肝鬱の体質からの気血の鬱滞が原因であると考えられる。

そのような月経痛も器が成熟するにしたがって気機がスムーズに流れるようになり、大学在学中の21歳頃までには落ち着いてくる。







28歳(専門学校卒業半年前)に精神的ストレスが原因で肝鬱から脾気を損傷し食欲が低下する。この時期に今まで52kgから49kgまでしか変動しなかった体重が46kgまで一気に落ちてしまう。この大きな脾気の損傷で(水穀の精微を腎精に化生できず)腎気の消耗を加速させたと考えられる。

学校を卒業した頃はストレスから解放され、食欲は回復してきた。しかし研修で寒冷地で生活となり、慣れない生活環境のうえ研修は緊張感も強く、深夜まで病院に居る事も多くあった。

この心身共の頑張りは落ちかけていた腎気を消耗し、落ちた腎気を肝気を張る事で奮い立たせ消耗するという悪循環に陥ってしまう。又肝気を張ることで脾気も消耗するため体重も元には戻らず脾気の回復には至っていないものと思われる。

この頃より気を遣った後の身体の落ち込み(疲れ)が激しくなってきているのは悪循環により腎虚を一段と深めてしまった事をあらわしている。







その後東京に戻り、29歳7月末に現在の整形外科に就職する。

仕事の内容は楽だが中腰の姿勢が多く、忙しい日の後は腎気の弱りが膀胱経に及び、右の臀部~下肢に経絡経筋病として痛みが出現する時もあった。







30歳になると経量が減少し、主訴であるPMSが気になるようになる。

ストレスによる脾胃の損傷は以前ほどではなくなったが、体のだるさが梅雨時に悪化する事や脾募のめくれ、足三里や三陰交などの経穴の状態をみると、脾胃が依然回復してはいないことをあらわしている。この頃から玄米食を始めているが、早食いによる消化不足で脾胃を痛めている可能性もある。

脾が虚すと生化不足、腎が虚すと精血不足につながり、衝脈、任脈を充実させる事が困難になってくるため、経量が減少してきた。

通常でも月経前は陰血が下注し相対的な肝血不足で肝鬱の状態になりやすいので 腎気や脾気が虚している状態では肝鬱がより強まることになる。

それらに元々の肝鬱体質が加わり、又、腎による抑えもききづらいので抑えるのが困難なイライラの強さ、肝気の条達不足が気分の落ち込み(抑鬱)となって表れてしまうのではないだろうか。

月経前の相対的な肝血虚に加え、夜間のパソコン使用で目を酷使することにより肝陰の消耗にもなり目の疲れ(乾き)が生じ、寝付きの悪さ、夜間の口渇の症状が出てくる。

又、気が裏に戻りづらく、元々足りない腎気をうまく回復できないので翌朝に体のだるさを感じる。

この肝陰の消耗もひどい時には経量の減少に影響を及ぼしている可能性がある。

月経が始まると気分がすっきりとするのは経血が出ることで気の動きが出て肝鬱が和らぐためではないだろうか。しかし裏にある脾腎の虚は変わらない為に翌月も同様に肝鬱による症状が出ることになる。

上記の月経の流れからも肝鬱と腎虚の悪循環は断ち切れておらず、 さらにじわじわと腎虚を深めていき、月経2週間前の排卵という腎気が充実していなければならない時期に下腹部痛が出てくることになる。







又冬期は特に腎気を消耗しやすい時期なので、代わりに肝気を張って日常生活をするようになる。よって肝気がゆるんでいる時は、落ちてしまった腎気が顔を出し、気分の落ち込みややる気の喪失という症状が出てくる。

頻尿、残尿感、熱感を伴う膀胱炎の一歩手前のような症状は、肝気を奮い立たせているために肝は熱を持ちやすい状態となっており、肝鬱の長期化やパソコン長時間使用で肝陰を消耗しやすい体質とあいまって、腎気の落ち込みの強い時に鬱熱となり、膀胱の気化に影響し出てきたのではないだろうか。

竜胆瀉肝湯の服用により肝の鬱熱がとれたために回復に至ったが、腎虚の状態は改善されないため翌年、腎気の充実が必要とされる冬期に同じ症状が出る事となる。よって竜胆瀉肝湯は一時的な効果をもたらすものであり、本治にはなっていないという事がわかる。

風邪をひきやすくなったのも、今まで徹夜の飲酒で脾気や腎気を痛めても余力の腎気でカバーできていたものが、腎虚が深くなってしまった現在ではカバーしきれず、衛気が弱り風邪の侵入を防ぐことができなくなったためだと思われる。




弁証論治



[弁証] 肝鬱 腎虚 脾虚

[論治] 疏肝 補腎 健脾 







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