月経が止まらない弁証論治


月経が止まらない弁証論治
治療指針:生活提言




治療指針



まず、食事指導を行うことにより、これ以上の湿痰を溜めないようにする。

そもそも過食による湿痰を排泄するために、月経量が増えていったのだが、今となってはその期間や量が異常であり、これが主訴となっている。

腎気不足により経血を留めておくことができないという「虚」を中心に考え、当面は月経を止めるために腎気を回復させることを第一とする。

ただし、腎気を補っていく過程で月経量がさらに増える(腎気が回復することにより、湿痰を月経にてさらに排出する)傾向があれば、ひとまずは脾気を補うことにより、湿痰を排泄しようとする腎の負担を減らし、結果的に腎気を補うようにする。







過食をやめて、治療により補腎がしっかりできてくれば月経の期間や量も落ち着いてくるはずである。

そうなれば、軽い運動により汗を流し、次の治療としては益気健脾により利湿をはかっていけば、上焦の鬱滞も自然と落ち着いてくるものと考えられる。

ただし、患者さんが更年期に差し掛かり、また長年の悪い生活習慣の結果として現在の症状が出ているので、少なくとも、半年程度はかかるものと考える。




生活提言



○○さんの現在の症状は、とても根が深いものと考えています。

ご自身でも自覚されているとおり、やはり40代に入っての過食がその発端となっていると思われます。

さみしさを紛らわすために食べすぎを繰り返し、消化器に絶えず負担をかけてしまいました。それでも元来丈夫な方なので、身体は余分なものを体外に排泄しようとしていました。それが初期の多汗や月経過多となって現れていたものと思われます。

しかし、結局食べることではさみしさを紛らわすことはできず、また食べ過ぎるという悪循環に陥っていきました。

身体はさまざまなSOSのサインを出していましたが、それに気づくことはなく約10年もその生活が続き、ついには身体の消化や月経を助けている生命力(ベースとなる体力)そのものにも影響が出始め、現在の症状になってきているものと思われます。

ですので、養生としてはまず「食」を見直すことから始めましょう。

これは量と質の両面から行っていく必要があります。







現在の状況を早く改善したいのでしたら、腹6~7分目をよく噛み、内容も消化器に負担をかけないように油物や甘いもの、水分を極力減らしましょう。

しつこいようですが、食養生なくして今回の症状の改善は難しいと思ってください。

次に、月経過多によりかなりの体力を消耗していますので睡眠をしっかり取り、何をするにも根をつめすぎないようにしましょう。

今は、身体を休めることが大切です。

そして、過食のきっかけとなったさみしさを解消する方法を「食べること」以外でみつける必要があります。

趣味などがこれにあたりますが、この内容を提案することはなかなか難しいものです。 なぜなら、それが楽しいか、また身体に負担がかかり過ぎないか、などはご本人が一番よくわかるからです。

自分自身としっかり向き合っていただいて、良い趣味を見つけてください。(決しておおげさなものでなくてもかまいません)

食生活を改めることは、始めはつらいでしょうが、2週間もすれば自分の身体の反応を注意深く観察していると、きっと良い方向に向かっていることに気づかれると思います。

これと鍼灸治療によってみられる効果を励みにして、1日1日積み重ねていきましょう。







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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