治療指針:生活提言


低血糖(めまい、動悸、過呼吸)の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



1年前より、当院を受診され週に1,2回の鍼灸治療を継続している。
今回、問診表を再度記入していただいた。

10代のころより、なんどかダイエットに挑戦している。
特段太っているわけではなく、痩せたいという希望で、かなり食を偏らせていた。
しかしながら、そういった食生活でも体重は変動することなく、また
無事に11歳で天癸がいたり、初潮となり、その後も体重、生理の状態は
食生活が偏っても変化はなかった。腎気が割合としっかりとしているために、
ご本人の肝気にまかせの脾気への偏りも、受け止めることが
でき、器はしっかりと成長し、天癸も迎え、体重の変化もなく過ごせていた。







大学生のころ、友達からの指摘により、本格的なダイエットを行い、 体重が減り、38キロ(BMI15.8)までになった。顏にニキビが出来るようになり、まわりから 大丈夫?と言われるほどの状態であったのに、ご自身でダイエットをするという意志があり強く肝気を張っていたため体調の変化は感じなかった。

それまでは脾気に負担をかけても、器には変化なくすごしてきたが、今回の本格的な ダイエットでは、脾胃に強く負担をかけ、体重が減少、器が小さくなったために内熱が発生しやすくなり、強い肝鬱(意思の力)もあったため上焦の胃経にそってニキビが発生するようになった。

ダイエットをやめたことで脾気は回復し体重は戻ったが、腎の器には少しもろさが残り、こののちニキビは発生しやすくなっていった。

22歳、仕事をはじめる。気力がなくなると肩こりを感じる。肝気を強く張って生活しているので、肝気を張ることが出来ていると体調不良を自覚しないが、肝気が中折れてしまいやる気がでないほどになると、一気に体調の状態を自覚するという状況であった。肝気が中心の生活である。







23歳のころ、仕事上のストレスが増え、スイーツを中心にストレス食いが加速。肝鬱による脾気への負担の増加である。腎気に少し残ったもろさの上に、脾気を落としながらの日々のちに、強い大きなストレスにより肝気が暴発、主訴が発症している。

肝気の暴発は、上焦を犯し、めまい、肺気をつき過呼吸の発作、心をつき動悸を生じ、また強い上逆であったため四肢末端は気虚をおこし全身のしびれとなった。これにより腎の器をひとつ小さくすることとなった。(この段、もっと陰陽関係を明確に細かく書くならば、脾気のバックアップが少なく肝陰、腎陰の根がよわっているところに、肝気が暴発し、肝陽が上焦であばれ、内風によるめまい、肺に逆気を起こし過呼吸の発作、心陽を高進させ動悸、上逆に全身の気が傾いたため、四肢末端では逆に気虚をおこし、全身のしびれとなった。これにより腎の陰陽両虚をおこし、器を小さくした)

投薬により、肝気の暴発は納まり、精神的に落ち着き、大きな発作などは出現せず、日常生活にも特段の問題は生じなくなった。しかしながら、腎の器をひとつ小さくしてしまった状態であったため、日常を支えるためには肝気をよりしっかりと張っておく必要があり、身体はこわばっている感じになり、歯も強く食いしばりマウスピースが必要なほど歯が薄くなってしまった。

日常的には落ち着いていたが、器を補うことはなく、肝気を張ることでカバーしていたため、腎気には負担が掛かり続けたため、生理の傾きを支えきれなくなり、26歳では生理前の高温期に寝汗が出るようになった。







26歳で結婚し、しっかりやろうとより肝気をさらにたてて生活することで腎に負担がかかり、全体の調子が悪くなっていくなか、服薬を半量にしたために再び肝気の強い上逆が発生、過呼吸、めまいが強く生じてしまった。服薬を戻し日常生活を取り戻すものの、人混み外出美容院など肝気をはるときには、腎気が支えきれず、症状が悪化している。

27歳で、週に1,2回の鍼灸治療、自宅でのお灸、同時にスイーツを控えるなどの食事指導を受ける。これにより、食事前の空腹感がでるなど、まず脾気が回復していった。また、半年後からは、積極的にタンパク質の摂取も意識することにより、体重も増加し始めた。

1年間の食事療法と鍼灸治療により、脾気が安定し、器もそれなりに補われた。このことにより

 肺気が安定し、呼吸の苦しさが少し減少。
 肝気の強い上逆も納まり過呼吸が出そうな感じはあるものの出ない。
 器の安定により、肝気の中折れがなくなり、脱力感や無力感がでることがなくなった。
 肝気を強く張る必要がなくなり、鬱滞することもなくなったので喉の違和感がなくなる。
 脾気の安定により便通の状態が安定。
 強い肝気を張り続けることがなくなり、腎への負担が減ったため、あと5分寝ていたいという
 疲労感がなくなった。

鍼灸治療で、肝気の負担をとり、脾気を健やかにすることと、スイーツをやめたことで、脾気がたちなおり、その上で、タンパク質を摂取することで器自体が充実の方向に向かった。もともと脾気が案外しっかりとしているため、タンパク質の摂取が脾気に負担にはならず器の充実となっていくことが出来たと思われる。

しかしながら、腎の器そのものへの回復には、まだ不足し、充分に補われ立ち直っているとはいえないため、肝鬱がつよくなるとめまい、動悸などは出現、腎気の弱さのため生理前には寝汗が生じている。3月の地震以来肝気を張ることが続いており、このところ生理の1,2日目には不安感、焦り火照りなどの症状が出現している。また腎の器への大きな負担がきっかけとなったニキビも続いていることより、内熱の生じやすさも変わらず継続しているものと思われる。




弁証論治



弁証: 腎陰虚を中心とする腎虚
    肝鬱

論治: 益気補腎 疏肝理気







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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