しつこい頚腕症候群の弁証論治


しつこい頚腕症候群の弁証論治
病因病理:弁証






病因病理



幼児期は、肺気失調または内湿の問題が起きやすかったようで小児喘息を患って いた。
子供の頃からたくさん食べるようにしつけられたが、もともと脾胃の器が大きか ったため適応することができ、成長につれ生命力が充実してきたため、また水泳 で衛気を強化したため小児喘息は改善した。
学生時代は問題なく過ごすことができたので、小児喘息に関してはとりあえず解 決されていたものと思われる。

就職後、仕事は働く時間が長く、仕事のストレスがたまって気滞が生じた。これ により、21歳で主訴の首の凝りを感じ始める。
食事も不規則になり、丈夫な脾胃もこの頃から次第に負担が行くようになってき た。

24歳になると指先の痺れが起こり始めた。
内科で安定剤をもらったり、凝りをほぐす運動を指導されたが改善されなかった。
ジョギングや週1回のエアロビで身体を激しく動かし、肝気欝結を発散させたた めこのときの痺れは改善した。

27歳秋、転職。
今回の仕事もかなり忙しく、運動をする時間が取れなくなってしまった。運動を やめたため肝欝は発散することができなくなった。

ご本人の意識では、疲労、風邪、症状の悪化がセットになっている感じだが、仕 事がかなり忙しかったため、また外で働くことが多いため、風邪をひいても治り きることができず(ご本人は治ったような感覚でも、完全に治りきっていない) 疲れてさらに風邪をひき、風邪が蓄積された状態となっている。
これは、ご本人に何度かお会いして感じたことや、主訴の偏頭痛が側頭部(これ は肝鬱による)と後頭部(風邪の症状)によることからも伺える。

ご本人は、身体を立て直そうとして、丈夫な脾胃でたくさん食べて栄養を取得す るという方法を選択しようとしているが、目的より先に脾胃の負担の方が大きく なってしまい、次第に深く腎の排泄機能に影響を及ぼし太り始めた(太ると体調 はさらに悪化する)
この腎の排泄機能の弱りによって、内湿が排泄できず(便が便器についたり、臭 ったりする)梅雨時や季節の変わり目が辛いという状況が起こってきている。

度重なる仕事のストレスで発散できない肝鬱がたまり、これは腎気を損傷する原 因となった。
また、風邪をひくたびに、これを治そうと腎気を損傷してきたため、現在、腎気 が不足している状態である。
これは、朝起きづらかったり、翌日に疲れが残ったり、年齢のわりに問診で排尿 関係のうったえがあることから伺える。
主訴のはったような腰痛は腎気不足から起きていると思われる。

動悸がするのは、腎気不足により心陰虚となり虚熱が発生したためで、主訴の指 先の痺れが薬指、小指にでることでも、問題が心に及んでるものと思われる。




弁証論治



この方の症例は、経絡経筋病の段階であるのか、すでに痺証なのか判断できてい ません。
内湿が認められますが、痺証であったとしてもまだ浅い段階と思われます。 境界例と言えるでしょう。

もともと脾胃の器の大きい方ですし、腎気が損傷されていても回復できる年齢で あることから、まず最初の段階として、風邪の治療を中心としてアプローチしま す。
これによってどのような変化があるか観察します。
内陥している風邪を取ると、内陥を許してきた脾腎の問題がクローズアップされ てくるでしょう。
最初は陽気を起てて風邪を取るということに着目し、次に現れてくる脾腎の問題 を調整していきます。このことが、痺証の予防にもなります。

弁証:風邪 脾腎の損傷
論治:1)風邪を取る。これによる変化で次の方針を決める。
   2)裏をたてる(まず腎。腎が収まったら最終的に脾)








主訴:問診

時系列の問診

四診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治











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