下肢が冷える弁証論治


下肢が冷える弁証論治
病因病理:弁証論治






病因病理



子どもの頃から家の方針で食事量が多かった。脾胃の器はある程度鍛えられ大き くなったが、過度の負荷により次第に負担が蓄積されていった。小学校の高学年 で、自分から満腹より少なめに調整。これにより器が破壊されるにはいたらなか った。それでも普通の人よりかなり量は多く、脾胃の負担はあったと思われる。

腎を養うべき脾胃が常に疲労気味であるため、腎の器は大きく育つことができな かった。弱い腎、疲労気味の脾であるため、脾腎の陽気は不足しやすい素体であ ると言える。







18,9歳で専門学校に通った時、学校が終わってから冷凍庫で冷凍食品の仕分 けのアルバイトをして寒邪にあたった。この時辛さの自覚はなかったが、もとも と不足しやすい陽気をさらに減少させることとなった。 20歳で治療師の学校に入り、体のことを考えるようになったせいか主訴である 右のお尻~大腿部の冷えに気がついた。

この部位は経絡経筋図によると胃経の領域に当たる。これは、脾腎の陽気不足が 脾経の表裏関係である胃経に影響を及ぼしたためと思われる。







23、4歳のゴールデンウィークには、周りの人はそうでもないのに自分だけ寒 い感じがあったとのこと。これは陽気不足により風邪をひいていた可能性がある。

風邪を引いても器が鈍くて気がつきにくく、器の密度が粗いため実際に風邪を引 き込んでしまう。この状態は今も続いている。

風邪の自覚はなく、身体が冷える、食欲が落ちるなどで体調の悪さを自覚。 しかし、それが風邪によって起きているとは気がつかない。つまり、器が鈍感で 外界の変化に反応できず、うまく風邪を通過させることができない。しかも,器 の密度が粗いため風邪が深く脾腎に及んでしまう。







治療師の学校に入りすぐ仕事を始めるが、新しい可能性を求めて26歳になって 職場を変わった。ところが、ここの方針が自分とは合わなかった。しばらく我慢 するが食事を食べられないくらいの肝鬱となり、肝木乗土で無理に食べて吐き下 すなどの状態となる。体重も減少してきたため1ヶ月で仕事をやめた。

このできごとはかなり腎気を損傷したようだ。働かずしばらく休養していたが、 腎気は回復できずにいたと思われる。

これは、現在の職場で働き始めた時、夏場のエアコンで右肩口~二の腕の冷えが 始まったことから伺える。この部位は経絡系筋図によると大腸経の領域に当たる。 腎気が落ち、腎の陽気が減ったため、腎と子午の表裏関係の大腸経に影響を及ぼ したと考えられる。

(腎気が落ちて脾腎の陽気不足が進み、これの胃経への影響がさらに陽明である 大腸経まで波及したためというふうにも考えられる)

また、この頃から父の病気もあり、さらに肝鬱を起こし腎気を損傷する要因が始 まっている。







28歳のときは、夏場に食欲が落ち体調を崩した。あるいはこの時も風邪を引い ていたのかもしれない。

蓄積されてきた脾胃の疲労により、食後にお腹がはる感じが始まるなど、明確な 脾虚の症状が出始めた。

また、腎陽不足から消化機能が落ちたため、内湿が蓄積されている。これは、脾 募があることや、梅雨時に調子が悪いことからうかがえる。

年齢のわりに体調の悪い時は残尿感や尿の切れが悪いなどの排尿関係の問題もあ ることから、腎の排泄機能が落ちる場合もあるようだ(腎の排泄機能が落ちると さらに内湿は排泄されづらく蓄積して行く)

肉体疲労や睡眠不足などで体調が悪化し、翌日に疲れが残ることも時々あるとい うことから、腎気はかなり落ち、腎陰も損傷されているため、手足にほてりを感 じるなど、陰虚の症状もある。

本人は不足気味の陽気を食べることによって補おうとしている。しかし、脾胃の 器はそれに耐えうるだけ大きくはなく、さらに疲労をため、かえって腎気を損傷 するなどの悪循環に陥っている。腎気が落ちているため、なかなか風邪を追い出 すこともできない。







現在の状況として、まず腎気(生命力)を回復させるのが一番の目標と思われる。 同時に陽気を補い、風邪を払うことと脾気を補うことも必要と思われる。

陽気をある程度回復させることができれば、器に見合った食事量で満足できるよ うになるのではないか。

ご本人の生活上の注意として、根を詰めて疲労をためないこと、消化器を疲れさ せない食べ方をすること、風邪を引きやすいことを自覚し、引いた場合は早めに 対処を考えることなど注意が必要かと思われる。




弁証論治



弁証 腎虚 風邪 脾虚
論治 腎をたてる 陽気をたてる その後必要に応じて補脾







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時系列の問診

四診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治











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