疲れやすいの弁証論治


疲れやすいの弁証論治
病因病理:弁証論治




問診や切診を拝見して、とにかくストレスによる肝鬱がすごく強い方だと思いま した。

腹診からも、また経穴でも心門の大きな硬結や心兪の熱などそれは上焦にまで影 響してきていると思われます。そのために動悸や息苦しさ、のぼせやふらつきな どの症状を感じ、頭痛や耳鳴りなども起きています。

そもそもこの症例は、幼少期から朝は弱く疲れやすいなどの症状が現在まで続い ていることを見ますと、生まれつき腎が弱くそれによって慢性的な気虚の状態を 起こしていることが示唆できます。そしてその弱さをカバーして生きていくため に肝気を張ってがんばっているという姿になっていると思われますが、それでも 午前中はなかなか陽気が立たなくて眠く、午後になると徐々に陽気が立ってきて 行動的になっているのだと思われます。そのため夜は奮い立たせた肝気をなかな か納められずに睡眠が浅くなることが予測できます。







このように肝気を張って生きていくことは、ストレスなどで肝気が逆噴射し、肝 鬱のさまざまな症状を呈することとなり、また肝気を張っている時間帯は比較的 元気に動けるため、体の信号に気がつかずに壊していってしまうという危険性を 秘めています。

それが去年の職場の引越し以降から現在にかけて起こっている状態だと思われま す。

本人は友達の誘いも増えたと言われていますが、がんばってアフターに忙しく出 かけているところを見ますと、ストレスがきつくその発散のために肝気を奮い立 たせている姿が見て取れます。そのため最初は体調を崩すほどではなかった胃痛 が強い肝気横逆と毎日の予定での疲れや外食などで脾を痛め悲鳴をあげ始めたこ とが伺われます。腹診でもすごくたっぷりの脾募が見られました。

またこの強い肝鬱は火と化し、マイコプラズマや扁桃炎の原因になったとも考え られます。少なくとも肝鬱が肺を邪魔することにより、その後から風を引きやす くなったということは間違いないところかと思います。

いずれにしても生理前の体調不良、そして整理中も最初の二日は体調が悪く、三 日目から五日目は体調が戻るのに六日目はまた体調が悪化する状態は、最初は気 鬱でラストは虚の状態の裏づけだと思いました。







この状態に似たような時期は高校時代にも見られますが、そのときは本人も一番 眼を使ったと言われているように、眼を使うことに集中することで眼の機能を1 20パーセントという形でフル回転させたことによるストレスでの肝鬱が原因だ ったと考えられます。そのためにこの時期は一番視力があったのかもしれません。

そしてそのストレスは盲学校に入ることでルーペや拡大文字などを使用すること により軽減し、弱かった腎も少しずつ成長に向かったことが伺われます。その証 明が25歳まで 生理の期間が長く量も多かったものがふつうになったということにあると思いま す。。しかし二十歳から就職までも朝が弱い、疲れやすいなどの気虚の症状はあ り、腎が順調に成長していながらもまだ慢性的な気虚は回復できていないことが わかります。ですが高校時代よりは明らかに裏がしっかりして肝気を伸びやかに 張れるようになりストレスに対する抵抗力は強くなっていると思われます。

上記のことから、強いストレスによる肝気の暴走と、そこから派生しているスト レス発散のための過度な行動をどうにかしなくてはまた脾腎を痛めてせっかく成 長してきた裏が崩れてしまい、さらにストレスを受けやすくなるという悪循環に 入ってしまうことが心配されます。

ともかく今は強い気鬱を適宜払いながら本体である裏(脾腎)を補い気虚の状態 を回復させることが先決だと思います。






弁証 肝鬱気滞 気虚

論治 補脾益腎 適宜気鬱を払う

裏をしっかりさせるために、睡眠など急速を十分にとり、養生法なども取り入れると良いかと思います。そのために気鬱も適宜治療で払いながら、外出を減らして様子を見ましょう。







主訴:問診

時系列の問診

四診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治











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