肩凝り不妊症の弁証論治


肩凝り不妊症の弁証論治
病因病理:治療指針




小学生時期から肩こり、中学での膝の問題、高校生の頃から腰 痛と腎の器の小ささが窺えます。

生理周期が元から不安定であったことや20歳で仕事を始めると ともに肩こりが悪化するといったことから肝気を張りやすい素 体であることも窺えます。

腎器の小ささは肝鬱を引き起こしやすく、結婚によるPMS( 月経前症候群)の悪化から、ご本人にとって結婚という生活環 境の変化は肝気を張り肝鬱を強め、精神的・肉体的な負担とな り腎気を損傷していったのではないかと考えられます。

また、瘀血の存在が月経時の刺痛、血塊から見て取れます。こ れは肝鬱によって腎気を消耗したことによる陰血の不足に加え て、生命力の衰えによる冷え、ならびに気鬱による血脈の阻滞 を引き起こした結果であろうと考えられます。

これは当帰四逆湯(温経散寒剤であり、肝血を補い、温めなが ら気血を動かしていく)服用によって症状の改善が見られるこ と、「右三陰交:冷え、緩み大きい、左三陰交:冷え強い」か ら窺えます。

このような状況下で肝鬱による腎気の消耗は強まり、また腎気 の消耗によって肝気を納めることが出来ず、肝鬱は強くなって いく悪循環と陥っています。







このことが不妊の原因になりますが、不妊治療に通うというこ とがさらなる精神的・肉体的な負担となり悪循環に拍車をかけ 、そこに加えてラパロ(腹腔鏡)手術によって腎気を損傷して しまた。

このさらなる打撃がここ半年ずっと生理がおかしいということ につながっています。

「右臨泣:つまり、右太衝:かたい、右三焦兪:特に大きい、 冷え、左三焦兪:大きい、冷え、右腎兪:冷え、左腎兪:冷え  実」からも肝鬱の程度がかなりきつくなってきているという ことが言えると思います。







現在の状況からすると、肝鬱は横逆し脾に影響している状況 であることが「右脾兪:陥凹、左脾兪:大きく陥凹」といった 反応から窺えるが、実際の症状として訴えが少ないところをみ るとその程度はまだ浅いものと考えられます。

脾まで犯されてきてしまうと腎気の回復が出来なくなってしま います。

そこで、まだ損傷の浅いであろう脾を補うと同時に、この方の 中心的問題である肝鬱を払い、氣血生成を促すことがまずは1 段階目としての治療方針になろうかと思います。

脾を補うことで深く損傷している腎の器を立て直すだけの準備 を整え、その後腎を補っていくことが建設的な方針であると考 えます。







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