治療指針


二人目不妊(43歳)の弁証論治
病因病理




第一子出産後も仕事を続け、保育園の送り迎えをし、家事をこなし、日々時間に追われている感じと患者さん自身が話すように、忙しい毎日を送られている。加齢に加え、帝王切開での出産における身体への負担、その後の忙しい生活により、出産してからの腎気の虚損は大きくなっていると考える。

休みの日は午前中は動けないと言っていたり、治療開始後すぐにいびきをかいて寝ていたり、切診の状況としても、大腹~少腹にかけての風船のような腫れで中は空虚な感じ、腎兪の状態、右尺の弦などからも、ご本人が自覚している以上に腎虚が深く、身体は困窮しているのではないかと思われる。

しかし、ご本人は疲れているという感覚がほとんどなく、不妊であるということ以外は体調の不調はないとのことである。これは多忙な日常生活で疲れを感じるほどの余裕が無い、つまり、肝気を脹り続けている状態であると言える。神門の腫れ、太衝の腫れ陥凹冷え、足の脹り感、肝の相火などの切診からも肝気を脹っているのは明らかで、肝気を脹ることを生活の中心に据えて、日常を過ごしていることが窺える。肝気を脹ってがんばり、腎気を損傷する。その腎気の損傷をさらなる肝気の脹りでカバーして、より腎気を損傷するという、いわゆる腎虚肝鬱の悪循環を歩み続けているのが現状であると考える。







ここで主訴である二人目不妊ということと、この全身状況がどのように関連しているのか考える必要がある。西洋医学的治療や生理周期と体調の関連が明らかになっていないので、この腎虚状態が不妊の原因であると明言するのは難しい。ただ、第一子の不妊治療のきっかけが、ご主人の方の問題であり、初回の人工授精で妊娠していることを考えると、患者さん本人の腎虚肝鬱が大きくなったことと関連がある可能性も残る。

不妊に関してはもう少し情報を得てから考察をしたいと考えるが、これからの人生という長いスパンで考えると、自分の身体への認識がないままにこの生活を続けるというのは、いつ肝気が折れて、破綻するか分からない状態であり、自己養生も含めた、継続的な治療が望まれる。




弁証論治




弁証:腎虚
論治:補腎







主訴:問診

時系列の問診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療方針:生活提言











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しゃんてぃ治療院