治療指針:生活提言


耳が遠くなった・肩こりが気になる弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



この方は、子供の頃から間食を毎日とっており、食欲は若い頃から現在まで変わらず大食であるということから、脾気に負担のかかる生活を送っているように思われる。記憶のある頃から便秘であるのも、このような脾気への 負担が原因だったのかもしれない。しかしながら初経は14~5歳であり、腎気はそれなりに養えていたようである。

月経にまつわる苦労がなかったのも、脾気に負担はかけつつも、腎気を損ねるほどの無理はしておらず、上手にバランスをとって過ごしていたためではないだろうか。







そして53~5歳で閉経を迎えた。これは、加齢によって衰えた腎気を守るため、一段階、省エネモードの身体に切り替えたとも言える。

しかし大食は続き、今までと変わらない生活を送っていたため、徐々に日々の疲労に対する回復が追いつかなくなり、気虚になっていったと推測される。

それに呼応するように、肩こりが気になるようになっていったのではないだろうか。また、月経という生理的・定期的な揺らぎがなくなったことも、気のアンバランスが生じやすくなった一因ではないかと考えている。上部に気が集まり滞りやすく、下肢の気のめぐりも悪くなりやすいため、足の冷えを感じることも出てきたのだろう。







64歳くらいから整体に通うようになり、だんだんと通う間隔が短くなっていった。「疲れが溜まり動けなくなってきたら、整体に行って動けるようにしてもらい、これまでと同じ生活を続ける」、これがますます気虚を深める悪循環であったと思われ、整体に通う間隔が短くなるペースがそのまま、気虚の深まったペースを表しているように感じられる。

そんな中、71~2歳で糖尿病と診断されたことをきっかけに、ダイエットをし、半年で61kgから53kgまで減量した。このときは便通も良く身体も軽かったということから、おそらくこの頃の食事量・内容が、身体にとっては負担のないものだったと思われる。

しかしその後再び体重は増え、脾気に負担をかける・気虚が進む生活に戻ったようだ。73歳でひどい便秘に陥ったのは、冷えや風邪など他の要因が重なった可能性も考えられるが、大本の原因は脾腎の虚と思われる。

サプリを飲むことで脾気が助けられ、毎日便通がつくようになったものの、それ以外に習慣は変えておらず、気虚が進む生活はそれなりに続いている。

それに加えて世界的に新型感染症が流行ったため、外出することが減った。そして好きなことでもある、細かい作業をする時間が増え、目が疲れやすくなった。作業後に目の奥が痛むのは、目に気が集まりすぎて気滞を起こしたからと思われる。ただ、自分で頭をマッサージすると回復することから、どことなく肝気の軽やかさが感じられる。この軽やかさが、長年脾気に負担をかけつつも上手にバランスをとってこられた、長所の一つなのかもしれない。







この頃、耳が遠くなってきたのは、腎虚がまた一つ表面化したのだろう。最近は便通が2日に1回くらいになってきており、サプリの助けが追いつかなくなってきたと思われる。

今のままの生活を送るとますます脾腎の虚が進み、便秘もきつくなり、他にも様々な症状が出てくる可能性が大きい。




弁証 論治



<弁証>

脾腎の虚、気虚

<論治>

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