主訴:問診


病因病理



小さい頃は体が弱く、食が細かったため脾胃虚弱で気血不足により肺気も虚弱で あった。

扁桃腺が弱くすぐ熱を出し、寒さにも人一倍弱かった。

汗がかけない体質であったことから、衛気を宣発し、腠理の開闔を調節するの が苦手であったことが伺える。

脾肺の問題が残されたまま小学1年の時扁桃腺を取ってしまい、見た目は熱を出 さず丈夫になったように見えたが、衛気で外邪と戦うことができなくなったため、 肺が直接外邪と戦わなければならなくなった。

つまり、肺は護りを失い、傷られやすくなってしまった。

12歳の時、風邪でも学校に行っていたら気管支炎になるなど、肺の器が傷られ てしまったが、この傷られた器はまだ回復できずにいる。これは、現在でも風邪 をこじらせると喘息状態になるということから推測される。

汗をかきにくいということから、肺に充満した気が腠理の開闔作用によって排 泄されにくいというのが、普段から常に軽くある状態だ。

見た目は丈夫になったため、扁桃腺の手術以後、具合が悪いと言うと親に自己管 理が悪いと怒られるため言わないようにした。がんばってみるが結果的に病態を 悪化させることが多かった。このように肝気欝結がたまっていったと思われる。

肺気や腎気をしっかりさせるため、常に気を張っていたので、疲れがたまりさら に肝鬱を起こしやすくなっていったと思われる。







子供の頃から睡眠を多くとらないとダメで、寝られる時間が少ないとわかっただ けで不安になった。夜早めに寝ても朝は起きられず、常に眠く疲れやすかった。

16歳の時、十二指腸潰瘍になった。小さい頃から弱かった脾の問題が解決してい なかったためと思われる。これを治すため、腎気が使われ腎気が損傷され、相対 的に心に熱を持ちやすくなった。

このため、この頃から(25歳くらいまで)不眠が出始める。

小さいころから絵を書くのがすきで、小学校1年生から暇があれば絵をかいてい た。疲労感は感じず、寝られない夜も絵をかいてすごした。大学生のころ、絵の 道を断念、私生活のトラブルなども重なり、精神的な疲労がたまり、腎気を損傷 されたため、この頃から排卵時に体調を崩すことが多くなり、排卵痛を感じるようになった。

大学卒業し、就職先でのトラブル、家庭でのトラブルなどで精神的に疲労がたま る。仕事の関係で寝不足もつづき、身体的な疲労もたまる。肝鬱と腎気の損傷との悪循環から子宮内膜症となった。 ただし、17歳から続いていた不眠は精神状態が安定すると改善された。







26~27歳ごろから肝気欝結がたまるとその都度お腹が膨れるという症状が出始め た。

これは、逍遥散の頓服でおさまるが、加味逍遥散だと下痢になってしまう。

肝気犯脾で起こるものと思われるが、熱を落とすとダメなので、心熱を持ってな い、脾の陽虚によって起こるものと思われる。

27歳から夜間の鍼灸学校に通い始めて、疲労はたまる。1年生の3学期に臨床の場 を求めて診療所に転職。ここでは治療以外の活動をボランティアとして強制され 精神的疲労と肉体的疲労がたまる。33歳で退職後、子宮筋腫がみつかるが、こ のときの肝気鬱結が瘀血になったものと思われる。

36歳のころ、仕事変化による激務のため、1時間立っていられないほど疲労が ピークとなる。今回の瘀血は子宮の細胞変異を引き起こし、ガン検診で子宮頸が んの疑いと言われた。

20代中ごろから続けていた鍼灸治療も、治療をしようという意欲がなくなり、中 断。しばらく放置するが、気を取り直し、免疫力を高めるため別の治療院で鍼灸治療 に通い、2ヶ月で細胞診が正常になる。治療は念のため半年ほど続けた。







40歳になってから、1日30分のウオーキングを始めたせいか自分の感覚として体 調がよく、元気になったような気がし始める。体が弱いと知れわたっていたので、 活動的になり驚かれた。この活動的というのは、周りの同年代の人が具合が悪い というので、自分も同じようになってはいけないと肝気をはっていたせいなのか もしれない。あるいは、若い友達と遊ぶことが多いから、影響されて動いていた のかもしれない。

自覚症状があまりないので、特に治療したりはせず過ごしていた。







身体の感じが以前と変わってきている。

たとえば、以前は生理で鶏卵大の塊が出ていたが、最近は出ない。以前と比べて 筋腫は大きくなっているにもかかわらず、生理が軽くなったような感じ。つまり、 瘀血の逃げ場として、逆に子宮筋腫が作用している。このため、体調が良い感じ がしているのだろう。

また、以前は逍遥散でお腹の張りが改善されたが、現在では効果がなくなってい る。便秘となってしまったときも、加味逍遥散で改善されていたものが(普段飲むと 下痢になった)今では効果が見られない。

つまり、以前は心熱のない脾の陽虚だったものが、心熱を伴うものに変わってき たと思われる。

これは、現在の身体の状態(切診で見られた、右神門の古い硬結、左心兪のコリ コリ、熱、左厥陰兪の古い硬結、熱、心下ありなど)にあらわれている。

加齢による腎気の弱りに加えて、精神的疲労により肝鬱も加わりさらに腎気が落 ちたためと思われる。

この心熱は抜けることができずにたまってきた(右神門や左厥陰兪の古い硬結な ど)ため不眠を再び引き起こすようになった。きっかけは風邪であった。

子供の頃から脾肺の問題が解決されないままでいるが、高熱を出した風邪で1週 間食べられない状態が続き、不眠(寝なくても平気)食べられない(食べなくて も平気)という状態が起こり始めた。それがきっかけとなってお腹が張るように なった。

大きくなった子宮筋腫の圧迫によりお腹の張りが感じられやすくなった部分もあ るが、食事時間が不規則になったり(朝食を食べるのをやめた。昼食や夕食も食 べないこともある)早食い(これは、20代中ごろから。それまでは食べるのが遅 かった)噛まない(これは子供の頃から)間食など(20代中ごろのお金に余裕が できた頃から)脾に負担をかける生活も続いてきたため、脾虚が進んでいたもの と思われる。

肝鬱によってお腹が張ってくるが、脾虚が進んでいるため、張る頻度が増えてき た。

便秘も以前と比べて起きやすくなっているが、脾虚が進んでいるためと思われる。

ただし、眠れなくても平気、食べなくても平気というのは、丈夫になったわけで はなく、風邪によって裏(腎脾)の虚が甚だしくなったためと思われる。

症状が悪化してきたため、背中(胸椎7~8番あたりから上部腰椎)に痛みを感 じはじめ、今度は眠いのに眠れない、食べたいのに食べられないという状況にな り、さすがに体調の悪さを自覚して再び鍼灸治療を受け始め、この状況は現在は 改善された。









弁証論治



お腹が張るという症状はきっかけは肝鬱で起きるが、脾虚が根本的な原因と思 われる。
ただし、以前と違い取れないでいる心熱を伴っていることから、これをはらう必 要がある。
風邪で体調を崩すことが多いので、回復していない肺の器を修復することも必要。







主訴:問診

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四診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治











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