治療方針:生活提言


呼吸しづらい弁証論治
病因病理:弁証論治




小学生の頃から胃が動かない感じがあるなど、もともと脾胃の器が小さい可能性 がある。これは現在でも食べすぎで体調が悪い、食後にお腹がはったり胸焼けが することが時々、大便が出きらない感じがすることが時々あることから伺える。 腎を育てる脾の器が小さいということは、腎の器もそれほど大きく育たなかった のではないかと推測される。これは、小学生の頃から目がショボショボするとい うことからも推測される。

大学生の頃当直のバイトをしたり、社会人になってからは当直のある仕事に就い たりなど、夜間に仕事をすることがあり、腎気を損傷することが多かったが、腎 の器が小さくても若い時期であるため、とくに問題は起こっていない。







鍼灸学校に通いだしてからは、昼は学校、夜はバイトでずっと寝不足であり、肝 気を張って生活しなければならず、これが腎気の損傷を徐々に大きくしていった。

卒業後は結婚して実家を出るが、9ヶ月間仕事をして費用をため海外旅行に行く など、腎気を回復させる機会がなかったと思われる。このため、1年近く海外旅 行に行ったうちの帰国前3ヶ月は体調を崩した。この体調を崩しながらも、 海外であるため動き回っていたことが、さらに腎気を損傷する原因となった。







帰国後、1年くらいはそれほど忙しくなかったが、治療院2箇所と出張、講習会 などかなり不規則な生活が続き、ここでも腎気を損傷していった。また出張で診 ていた患者さんは、症状の重い人が多く、精神的疲労から肝欝となり、これも腎 気損傷の原因となった。腎気を損傷しているため、生活するために肝気を張り、 さらにまた腎気を損傷するという悪循環に陥った。

もともと脾腎の器が小さいため、損傷しやすいと思われる。

この間、食事の時間も不規則となったため、脾胃にも負担がかかり消化機能が落 ちた。これに加えて腎気損傷のため、消化機能を支えるべき腎陽も不足し内湿が 溜まるようになった。

また、肝欝により上焦に熱を持ち、普段飲まないのにビールをたくさん飲んだこ とも、内湿を溜める要因となったと思われる。

この内湿が肝欝により胸に停滞し、、左を下にして横になるとクチャクチャ音が するという状況を引き起こした(ご本人は「心内膜に水が溜まったように」と表 現されているが、おそらく胸膜もしくは肺胞ではないかと推測される)







秋には半夏しゃ心湯と八味地黄丸を服用したが、八味地黄丸はご本人の感覚では あまり良くなかったとのこと。腎虚であるにもかかわらず、八味地黄丸で気が引 き降ろされなかったのはなぜなのか(八味地黄丸は、腎陽を補うだけでなく、腎 の陰陽を整える)これは、肝欝による滞りが強すぎて理気しないと動かない状態 だったのではないかと考えられる。

冬には1回だけだが狭心症のような胸の苦しさを起こした。これは、滞っている 内湿を動かそうと胸に気が集まり気滞を起こしたためと思われる。つまり、ここ までは生命力の正常な働きである。しかし、肝欝が強すぎて内湿を動かすことは できず、集まった気は発散されずに気滞のまま残り、胸がかたまるという症状と なった。この段階になると生命力の逆噴射と考えられる。肝欝が肝欝をよび、滞 った内湿(痰飲)は欝熱となり、胸に熱感が生じるようになった。

ここで、胸がかたまった時期に、気がつかずに風邪を引いていたという可能性も 考えられる。風邪によって肺に生じた気滞は、肝欝の気滞をより頑固なものとし、 呼吸がしづらいという症状を引き起こした。そして、この風邪が発散しきらずに とどまっているという可能性もまた考えられる。これは、呼吸がしづらい状態が 続く、寒い時期にわりと風邪がはいったかもと思うことあり、ということから推 測することができる。







主訴と同時に眠りが浅い、夢を良く見るという症状が出た。これは肝欝により上 衝した気が腎気不足のため引き降ろされることができなかったからと思われる。 このとき肝気犯胃により食欲不振も起こった。腎気不足により、耳鳴り、目が疲 れやすくもなった。また腎気不足は相対的に心に熱を持つとともに肝鬱による 熱も心にこもったことによって、口苦、味覚異常、動悸が起こった。

気滞を起こしたため理気が必要となったが、漢方の理気剤は冷やすものが多い。

冷やすということは、そのときの症状は楽になるが生命力を落とす、すなわち器 の損傷を起こすものが多い。黄連解毒湯は三焦を冷やす。このときは、症状はま あまあ良くなっているが、だんだんしんどくなってきている。これは、冷やした ために生命力が落ち、器が損傷し、もともと小さかった器がさらに小さくなって しまったためである。







現在は小柴故湯加黄連がわりと調子が良いので続けているが、柴胡剤は寒熱往来 に使われるものであるが、黄ゴンが入っていることから冷えの方に傾けて作られ ているし、黄連は心火を冷やすものである。理気がうまくいっているため、症状 は落ち着いているが、徐々に生命力の低下(器の破損)が進行してしまう。この 薬が効果がなくなったときには、さらに全身の状況は悪化している可能性がある。 これは、舌が暗赤であること(陰陽両虚)1回だけではあるが血尿のような尿が 出たこと、冬にトイレが近く急にしたくなったこと、尿の切れが悪いときがよく あることなど、まだ年齢がそれほどいっていないにもかかわらず、排尿関係の症 状があらわれていること、切診において腎関係の問題が多すぎることから伺われ る。

この冬は蜂蜜を舐めたくなって毎日舐めていたとのことだが、脾気をバックアッ プする腎気が落ちたせいで脾気も落ちてきたからと推測される。

ただし、脾気の器も小さいが、砂糖を食べないなど食べるものに気をつけたり、 具合が悪くなってから食事時間を規則正しくしたり気をつけているので、腎気が 回復できれば脾気も回復できる可能性はあると思われる。生命力の低下により溜 まったままの内湿(右に脾募がある、大便が便器に付着して取れ難いことが時々 あることから存在が推測される)を脾腎をたてることにより排泄させたい。

しかし、腎気の回復はかなり難しく、注意深く行わなければならない。

また、もし内陥している風邪があるなら、それを発散させることも考えたい。







【弁証】

腎の陰陽両虚、肝欝

【論治】

補腎、必要なら疏肝理気







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療方針:生活提言











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