病因病理:F案


目眩 難聴の弁証論治
病因病理:Y案




19歳のころ、短大に入学し、勉学、遊びにと気力体力を使う機会が 増えている生活の中、夏に原因がわからないものの、急に足がパン パンに張り、足を中心に四肢の末端がほてり冷やすと浮腫みが取れ るという状態が出現する。手足のほてりはその位置により腎の陰虚 熱の可能性が高い。

冷やすとむくみがとれ、暑い時期や満員電車な どで症状が出現するということより、外側からの熱が腎気の弱りと なり虚熱の亢進、むくみの出現となりやすいことがわかる。

ただし、 結婚してゆっくり生活しているときには出現せず、また出産でも悪 化していないので、腎気そのものの問題というよりも、忙しくして いるという肝気を張った時期に熱の影響を受けると腎気に影響し陰 陽のバランスを崩し浮腫みと煩熱となる状態へと移行していると理 解できる。

それにより、この浮腫の問題が直接的な腎気の問題が中 心ではなく、肝気の欝滞の問題が中心ではないのかという可能性が 考えられる。







家庭に入り妊娠出産子育てをした23歳からは、目眩の症状が出現 していない。

ただ、飲みすぎ食べ過ぎの傾向がこのころからはじまる。第一子出 産後は出産後さらに5,6キロ太ってしまったり、第二子出産後は さらに過食傾向に拍車がかかったりしている。また31歳ごろから毎 日の飲酒がはじまる。脾胃をいためる可能性が見え始めている。

35歳からアロマの講座にいき36歳から仕事をはじめる。このころよ り目眩が始まっている。社会に出て肝気をはることで目眩という症 状が出現しているのである。

また37歳のころ突然の目眩で動けなくなることがおこっている。こ れは症状として動けないということから、じっとしているとおこる 目眩とは違い、一時的に肝気の暴発があったために肝気の納まりが つかなくなった為の眩暈と考えられる。

この後、仕事をかけもちしたり、鍼灸学校に入学したりして、肝気 のはる生活が続く上に、食事の時間が不規則になったり間食をする ようになることで、脾気がおちていく。ここで目眩の出現頻度が高 くなっている。脾気と肝気の問題により目眩が出現していることが 明白になってきているのである。







専門学校1年の秋には試験の前に肝の鬱熱が胃に影響し胃熱となっ たためか食欲がアップし、結果として脾気を落としてしまったのち に風邪を引き、突発性難聴を発症することとなる。

脾気がおちていたため、内湿の捌きがより悪くなってたことのうえ に、試験という肝欝状態、そして風邪を引いたことで、収まりがな く内風がおこり、上焦に鬱熱化火を生じたものと思われる。

主訴の目眩は、じっとしていると感じる目眩である。

じっとしているという身体の状態は、気が納まり梢がゆれるのも納 まるはずである。しかしながら、本症例では、じっとしているとい うときに神明が曇るように眩暈がおこっている。単なる肝気の上逆 や納まりのなさによる目眩とは趣を異にしているわけである。

舌が白膩苔ぎみであり、紅点が多いことより内熱内湿の存在が候わ れる。また足三里などの陥凹もきつく脾気の弱さを示している。間 食が多いこと、食後に腹脹、胸焼けがあることなどからも、脾気が 弱くそこから湿痰内湿を生じている可能性が考えられる。またご本 人の肝気をはって頑張るという状態が過度になると脾胃に影響を与 えやすいことがあり、肝気の欝滞が脾胃をより低下させるため内湿 がより生じやすくなっているのではないかと考えられる。

上記のように脾気の弱りより生じた内湿の存在が、神明を曇らせ肝 気の欝滞するようなじっとしている状態での目眩となっていると考 えられる。またこの方にとって、社会生活学生生活は非常に肝気が 張り、それにより脾気を落とす、気逆をおこす、腎気の低下により 上逆した気の治まりが悪くなるという悪循環をもたらしている。内 湿は熱をもちやすく、肝の鬱熱とあいまって内風ともなりやすい。 上逆が強くおこれば、突発性難聴程度ではすまず、より大きな上焦 の鬱熱化火の可能性も大いに予想される(肝風内動など)

まず、脾気をたて、内湿を裁き、肝気との折り合いをつけて生活を することが大切だと思われる。そしてまださほど影響は与えていな いが、きつい上焦の鬱熱化火を防ぐ意味でも、腎気も充実させる必 要があるだろう。







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:I案

病因病理:Y案

病因病理:F案











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