治療指針:生活提言


高血圧の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



本症例の主訴は高血圧です。

現在は薬の服用と食生活・運動不足を注意して血圧は安定していますが、 服用なしで、血圧を安定させていきたいということです。

1年前に高血圧緊急症と診断され入院します。それまでの自覚症状は、 体重の増加、疲労時の腰痛(大腸ユ辺り)、扁桃炎を伴う風邪を 引きやすくすくなったという症状などがありました。







5年前から、仕事での精神的なストレスを感じることが多く、肝気を張った 状態が続き、肝を支える腎気に負担がかかっていた状態が継続したものと 思います。この頃から、扁桃炎を伴う風邪を引きやすくなってきます。

これは、肝欝気滞から、肺気が宣発されず、結果として肺の機能が十分に 発揮されない状況と推測することができます。

体重の増加で腹部が出てきたのもこの頃からです。運動不足と、 食事の不摂生から脾気の消化機能の低下により、内湿が発生した事が原因と 思われます。そして、10年前に発症した腰部ヘルニアからの、継続している 疲労時の腰痛に加えて、体重の増加、肝欝気滞の影響からさらに、腰部の 負担を悪化させて、腎気の不足を悪化させていたものと推測します。 またこの腎気の不足は、脾気の虚損を悪化させていたものと思います。







3年前になると風邪の症状は無くなり、扁桃腺の腫痛のみの症状が、 出てくるようになります。この頃に禁煙をしたことにより、肺気の状態が 改善されてきたのではないかと考えます。ただ、体重増加と疲労時の 腰部痛は継続しています。腎気の不足と脾気の虚損がまだ継続していること を意味します。これは、脾気の虚損から腎気の補充が出来ないことで、 腎気と脾気の虚損の悪循環に陥っている状態であることを伺うことができます。

この頃には、さらに体重増加が進行していることから、内湿の存在も多く なっていると考えられます。継続している肝鬱気滞もあり、気滞の状況はさらに 悪化し、熱を生じ、 陰液の損傷から肝陰不足になったものと推測します。

扁桃腺のみの症状は、肝陰不足、肝陽上亢の状態になり、扁桃炎としての 症状のみが出やすくなったものと考えます。この頃の血圧は覚えていないとの ことですが、ある程度高くなっていたのではないかと考えられます。

そして1年前に高血圧緊急症と診断され入院します。

最初の症状は左目の視野の欠損です。肝陰不足を伺うことができます。

そして継続していた肝陽上亢の状態に、さらに継続している腎気の不足から さらに肝陽を抑えることが出来ず、陽気が過剰な状態であったため、高血圧 という状態に陥ったものと思います。







現在では、高血圧の症状は薬の服用はあるものの、落ち着いています。

これは、食生活の改善と、運動不足を解消したことで脾気の虚損が改善し、 腎気の補充が出来るようになったものと考えます。

その結果、腎気の不足も改善されて、肝鬱から発展した肝陽を抑えることが、 出来るようになり、症状の改善になったものと思います。

また、脾気の虚損も少なくなった状態に伴い内湿の発生が減少し、 体重も減少しました。

ただ、白膩苔で裂紋が見られることから、まだ内湿の存在が伺えます。

また、夜間排尿があり、疲労時に腰部(大腸ユ辺り)の軽い痛みが 出ることから、まだ腎気の不足があることが伺えます。

また扁桃炎も時々あり、臍周の盛り上がりが見られることから、 激しい肝陽上亢の状態は無くなったものの、肝鬱気滞の状態が まだ残っていることを感じることができます。




弁証論治



弁証:腎虚、脾虚

論治:益気補腎、益気補脾







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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