治療方針


事故後の右足痛の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



主訴である右足(下肢の脾経、肝経、腎経ライン)の痛みは、事故というはっきりしたきっかけがあり、事故で経絡を損傷したといえる。この右足の痛みはきつい仕事をした日や長靴を履いて足に負担をかけた日により痛みが悪化することから、虚損して弱っている経絡に耐えうる以上の負荷がかかることで、より経絡を損傷して痛みが出るという経絡経筋病が考えられる。

また、右下肢の痛みは夜にひどくなり、肉体的疲労、精神的疲労、イライラによっても攣るような感じがあることから、腎気の損傷、肝血の損傷と右下肢の状態は関連があるようにも窺える。

季節的に冬や梅雨時に手術痕が重く痛い感じがする、歳を取ってから便秘がち、尿の切れがわるいなどの腎虚、飲食や冷えによる胃痛などの脾虚、冷え性もひどくなっているなど脾腎陽虚という、これら脾腎の虚損という全身状態が弱ってくると、経絡経筋の弱い部分である右下肢の陰経の痛みが表面化している。

これらのことから、右下肢の痛みは基本的には経絡経筋病がその発症の基ではあるが、全身状態との関連性があることから、単なる経絡経筋病よりも深い病態であると考えられる。ただし、外邪との関連がまだ出てきてないことから、痺証の段階には入っていないと言える。







事故前の工場勤務時代は、仕事が多忙を極め、また管理職ということもあり、肉体的精神的にも負荷がかなりあったことが推察され、肝鬱腎虚の悪循環を起こし、それが癲癇の発作を引き起こし、ついには事故へとつながることとなる。仕事の現役を退いてからは、自分の体に対する養生の自覚も芽生え、農業はだいたい半日程度に留めているにもかかわらず、以前に壊した脾器、腎器は、加齢もあり、バランスを崩しやすい状態であると考えられる。ただし、事故後は癲癇発作の回数は激減し、現在も薬は服用して入るが癲癇の発作は無く、事故当時が全身のバランスを崩したピークで、現在まで少しずつ自己回復してきていると思われる。

また、事故前から足が攣ったり、視力が低下したり、現在は寝付きの悪さ、浅い睡眠、多夢などがあることから、事故前から起こっていた肝血虚は事故後もゆっくりと進行していると思われる。この肝血虚は、事故による肝経の損傷が深く臓腑にまで及んだために引き起こされている可能性と、事故による精神的ショックと肉体的疲労によって起こっている可能性の二通りが考えられるが、現段階でははっきりとした原因の判別は難しい。ただ、現状として、肝血虚があることは確かで、事故が肝血虚を増悪させる要因になったと考えられる。これが肝経の経絡の虚損を大きくし、右下肢の痛みを増大させている可能性は大きい。







また、去年の暮れから始まった耳鳴りは、その頃同時に起こった後頭部の痛みが風邪薬で治ったこと、去年あたりから風邪をひきやすいということから考えると、この耳鳴りは気逆によるものであった可能性が高い。そして、その耳鳴りが現在まで続いているのは、風邪が抜け切らないことにより、それを追い出そうとする腎の陽気の虚損が大きくなっているためであると考える。つまり、風邪による慢性的な衛気の虚損があり、そのために腎陽の損傷も進み、今年の冬はお風呂に入るために、体にとって衛気の代わりをしている服を脱ぐと、湯船に入るまでがたがた震えるほど寒いという明瞭な陽虚の状態を呈したと考える。

ただ、この時も癲癇の発作は起きず、確実に自己回復していることが窺える。また、この風邪をひいたときに、右足の痛みが増したということもないことから、これはやはり経絡経筋病であると言える。

その他に治したい症状、足底の痺れ、胃痛、心臓がどきどきする、視力の低下という症状に関しては、脾器、腎器、肝血との関連が考えられることから、主訴の症状を含め、脾気および腎気、特に陽気を建てることでどの程度症状が回復するかを診ていく必要があると考える。




弁証論治



弁証:右下肢陰経の経絡経筋病、脾腎陽虚、肝血虚、(風邪)

論治:右下肢陰経の疏通経絡、補腎陽、健脾、補肝血、(陽気を建てることで風邪を払う?)







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病因病理:弁証論治

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