28歳頃から出現した腰痛は、整形外科的な問題は発見されず、29歳の時に水腎症の診断の折腎臓の腫れのためとわかり、内視鏡による治療により軽快している。そののち妊娠により、週数が進み尿管が圧迫されるということにより出現している。
2回の流産後、体重が増えたり、高温期の日数が減ったり、生理周期が短くなるなど、明らかに腎気が低下していると思われる状態でも腰痛が出現し ないことにより、この腰痛は、内視鏡の手術のおかげで腎気の盛衰そのものとは密接に連動はしなくなったが、形態としての弱りは奇恒の腑である子宮の活動が妊娠で盛になったときに強く症状が出現し、やはり腎気と連動することは明らかである。
小さい頃から夜間尿があったり、きつい便秘があったりしている。夜間尿はもともとの腎気の弱さ、そして便秘は犬の散歩で気分がはれることにより10日一回だったのが5日に1回と軽減し、前頭部のもかなり解消していることから脾気の弱さや肝気の鬱滞の影響が素体としてかなりあるのではないかと考えられる。
風邪を引くと便秘になったり、犬を飼うことで気分がはれ便通がよくなる、過敏性大腸炎の薬で軽快など、便通という脾気の問題が肝鬱と強く連動していることがわかる。また、仕事柄人前で話をすることが多く、肝気をぐっと張ることが多いことで肝気を支える腎気にも負担を掛けることが日常的に多い生活である。
下腹の気海から関元の舟形の抜けや列缺のこそげは、脾腎の大きな虚損を示し、全身の気虚の強さをあらわしている。そのうえ、神門の硬結や肝の相火、季肋部の張りなど肝気の鬱滞も認められるが、胆兪の大きな陥凹や心兪の抜けや陥凹により脾腎の土台が肝気を支えきれなくなっているのではないかという可能性までも感じさせる。
仕事柄生じる肝気の張りや、脾気の問題は子供の頃から継続している腎気の弱さに、大きな負担となり、妊娠のしにくさにつながっている。また、妊娠は奇恒の腑を中心として脾腎の大きな負担を必要とするため、妊娠そのものの継続の難しさや継続したときの(腎臓の腫れ、水腎症)による腰痛の出現などと大きな問題となっている。
弁証:腎虚を中心とした気虚
論治:益気補腎
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