治療をして


病因病理・論治



病因病理



小学校低学年ぐらいまでは、食が細かったことや、風邪を引きやすかったこと、喘息、アトピー性皮 膚炎があったことから、肺脾胃の素体としての虚弱がうかがえる。また、幼少期から、疲れ、 寝不足、夜間に胃痛が起こることから、腎の虚もあったと考える。20歳ころまではとても寒 がりであったことから、脾腎の陽虚の要素もうかがえる。他臓を補う腎の器も小さく、腎を 助けるべき脾胃も虚弱であり、全体として丈夫な体ではないが、特に無理をしていたわけで はないので、普通に生活を送っていた。







小学校の中学年くらいから、何がきっかけかはわかりませんが、内向的な性格が少し積極的になり ました。また12歳で田舎に引越した際も、すぐに友達ができました。この頃から、特に肝気 を張らずに生きてきた子供が、自我の目覚めとともに肝気を張って生き始めたのではないか と考える。もともと虚弱な私が、活発に活動できたのは、昼間は肝気を張って生活していた からだといえる。しかし、夕方から夜中にかけては、もともとの腎の弱さがでて、肝気が横 逆して虚弱な脾胃を犯し、胃痛を起こしていたと考えられる。

また、田舎に引っ越してからは、胃痛が昼間でも起こるようになった。これは、田舎と都会のギ ャップに、気付かぬうちにストレスを感じて、胃痛が日常的になってきたのではないかと考える。 このストレスというのは、田舎は社会が小さいがために、人間関係が親密になりがちであること がストレスであったと、今は思う。

自分のペースで物事をするというのは、五臓がもともと小さい自分を守るという、自己防衛であっ たといえる。それがゆえに、表面的にでも他人とペースを合わせるということは、肝気を張って がんばる行為であった。夕方になると胃が痛くなったのは、家族が帰ってきて、あわただしい雰 囲気になるのが嫌だったとも考える。

このように、積極的に生活を送るようになってからは、腎の器の小ささ、脾胃の虚弱を隠す肝の働 きがあったと考える。昼間は肝の陽気を張って何とか生活をするが、夜になると、陽が納まるべ き陰が不足しているため、肝陽が納まらず肝気横逆して胃を痛めたと考える。







そういう生活が中学に入ってからも続き、中3の定期テストで徹夜が続いて、そのテストが終わった 直後に起きられないほどの胃痛に襲われ、入院となる。これは肝気を限界まで張っていたために、 肝気を張る必要がなくなったら、肝気を張るために犯されていた腎脾胃の状態が露呈したためと 考える。この入院の期間中、薬のせいもあるが、胃の痛みがなかったのはもちろん、とても心身 ともに楽で、夕方になっても気分が滅入ることはなかった。

この入院以降は薬のおかげで、胃痛を感じることはなかったが、退院直後に小学校以来の喘息の発作 が起こった。これは、退院してすぐに学校に復帰して、肉体的にも精神的にも肝気を張ってがん ばり、それが薬で症状は抑えられている胃ではなく、もともと弱い肺に影響して発作を起こした ものと考える。この発作が最後の発作となった。

胃の痛みが薬でなくなると、ごはんも食べられるようになり、それが少しずつ脾胃を養い、風邪も 引きにくくなったことから、肺腎もそれにつれて少しずつ補われていったと考える。







20歳まで胃の薬は服用して、体調もよかったのだが、1度だけ、這って病院にいかなければならない ほどの胃痛を起こした。それは19歳の時の教育実習で地元の中学で2週間過ごした直後のことであ る。このとき授業をするのは楽しかったが、職員同士の付き合いや、給食を早く食べないといけ ないなど、私のとっての苦痛が多くあり、肝気を張ったがんばった結果、教育実習後1週間寝込む ことになった。

その後、20歳から専門学校に入るまでの社会人生活では、胃の薬の服用も中止しており、その間、日 常的な胃痛がないことから、自分のことは自分で決める自由を得たことにより、精神的ストレス は少なくなったと考える。また、デスクワークが多く、特に肉体的にも無理をすることがなく、 食欲もあったことからきちんと食事が出来るようになり、脾胃が充実してきたことが、腎の器の 小ささも問題にならずに過ごせたと考えられる。この期間も、冷えにより胃痛が起こったり、生 理の1日目には下痢をしたりと、脾腎の陽虚の症状は見られる。







専門学校に入ってからは、バイトと勉強とサークル活動にと忙しくしていたことから、肉体的にもき つくなり、そのことがさらに肝気を張らせることでがんばるという悪循環になり、肝気犯胃で胃 痛が日常的にぶり返してきた。

卒業後も、仕事と勉強会への参加など、肉体的な疲れが日常化しており、肝の陽気を張ってなんと か毎日を送っているが、大きな生活の変化(卒業して就職と新しい勉強会に参加)や、秋の9月頃 に天の陽気が衰えてくると、肝気の張りだけでは対応できず、もともと弱い脾胃に胃痛として症 状が出てくるため、入院ということになったと考える。







胃の痛みがひどく出始めてからは、眠りが浅くなっていることから、肝腎同源で腎陰の不足が考え られる。ここで肝血虚と限定しなかったのは、月経量は特に少なくなることがなかったので、肝 血というより腎陰の方が虚してると考えました。また睡眠時間が少ないことから、腎陰が養えず、 さらに眠りが浅くなるという悪循環に陥っているといえる。

専門学校に入ってからの胃痛は薬だけでは抑えられなくなっており、未成年の頃の胃痛とは少し病 因病機が違うと考える。それは肝気の張り方の大きさで、子供の頃よりも、専門学校時代は、強 い意志の力でかなり腎を痛めるほど肝気を張っており、肝気犯胃だけでなく、腎陰の不足から胃 陰不足となりより根深い胃痛になっていると思われる。このことが主治医に言わせると難治性の 潰瘍ということになる。







以上のことから、もともとの腎の陰陽不足、つまり腎の器の小さ、それに加えて虚弱な肺脾胃とい う、全体的に小さい器である私が、強い意志で肝気を張って生きようとすると、上手く肝気を張 れず、他臓を痛めるという病態が現れる。それが1番に胃にでているが、胃の痛みが薬で抑えられ ていると肺にでたり、眠りが浅くなるなど腎にでたりと、肝気に犯される。

表面的には肝鬱が強いとも思われるが、逆にその肝気があるからこそ、今の生活が成り立っているの で、その肝鬱を払うよりも、腎の器を大きくしていくことで、肺脾胃も補われ、肝気を健やかに 張れるようになると考える。 腎の器を大きくするには時間もかかるので、腎を補うのと同時に少 し肝気を張らなくてもすむような日常の平穏も大切であると考える。




弁証



腎虚




論治



腎気を建てて、肝の根を安定させるとともに脾の陽気、胃の陰気を済ける。








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