尋常性乾癬の弁証論治


尋常性乾癬の弁証論治
病因病理:弁証論治





主訴が発症したのは5歳頃。きっかけは思い当たらないとのこと。

家庭の躾が厳しく、高校を卒業するまで食卓に座るのが苦痛であった、成長期で あるのに食に対する欲求がほとんどなかったということから子供の頃から肝鬱傾 向にあった。これは、スポーツをして肝鬱を発散させると体調が良くなるという ことからも明らかである。

成長期に腎の器を育てるべき飲食が不適であったため、器が大きくなりきること ができなかった。また、肝鬱は腎気を損傷する。

寝たり休養を取ったりすると主訴が少しましになるということからも、腎気がか なり損傷していたことがうかがえる。腎の器が小さいので、損傷されやすいと思 われる。







高校を卒業し、鍼灸学校に入ると家庭からの束縛が少なくなり、心身ともに解放 され体調が良好となる。

ただ、鍼灸学校は家から遠く別の意味で肝鬱がたまり、肉体的にも疲れ、腎気を 損傷した。また房事過多により、肝気を張ることによっても腎気を損傷した。

またこの頃から空腹感はないのに大食となった。これによっ て脾気も傷つけられるようになった。







18歳の時、黄連解毒湯を飲む。これは三焦の熱を取る薬で、2ヶ月で皮膚症状が ましになった。しかし、これは冷やしたために生命力が落ちただけで、その後急に身体中膿みは じめたことからも好転したわけではないことがわかる。

ここで化膿止めの抗生物質を飲み、抗生物質入り軟膏を塗った。膿は消失したが、 落屑、赤み中心の症状が出るなど、さらに生命力が落ち腎気を損傷することになる。これは、休養をとっても症状が改善することがなくなり、疲労感も取れなく なったことからうかがえる。腎気の損傷は心に熱を持つことなり、足の熱感、のぼせ、動悸、口内炎の頻発が 起こる。

食欲過多により消化機能が落ち、その上生命力が落ち腎陽も不足しさらに消化機 能を助けることができにくくなったため、内湿がたまるようになった。

修行先と学校のストレスで肝鬱がたまり、腎気をさらに損傷した。心熱も強い。 自身で太衝、百会、太谿、照海などを治療したところ、足の熱感が抜け、皮膚も 湿っぽさが抜けて少しましになった。肝気がゆるみ、腎気が少し補われたのであ ろう。

鍼灸学校卒業後も入学当時からの諸症状は改善されない。







某有名漢方病院で漢方治療を受けた。陰虚による熱証で処方され、冷やす薬中心。

この時も皮膚症状(赤み)は少し良くなったように見えるが、冷やしたためまた生命 力を落とすことになった。

腎気の損傷による心の熱が解消されないため、のぼせや顔の高潮がなくならない。

また、以前より腎気が落ちているため、腎の陽虚の症状が現れ、以前よりクー ラーの寒気をきつく感じたり、体調が悪いと悪寒が強くなった。

この薬は、脾胃をいためないように考えられてはいるが、ご自身が服用した感 じとしては、脾胃の補いが足りず、気を引きおろす力も不足していた。

その後両地湯を服用し顔の赤みが軽減した。これは、腎陰が補われることにより 心熱がやや減ったのだろう。ただし、足を引っかくと肌汁が出るようになった。

これは、腎陽の不足により脾の消化機能が回復しないため、内湿が排泄されない でいるものと思われる。







その後、杞菊地黄丸を服用。腎陰と肝陰が補われ、肝火が押さえられたため、内 湿が運化され、水分を多量にとらなくなる、口の中がねちゃつく、汗をかくよう になり、のぼせないという変化が現れた。足がつりやすいのも軽減した。

ただし、胃の症状は改善されず、ストレスや環境の変化ですぐ主訴がぶり返す。 これは、まだ内湿が排泄されきらないためと思われる。独立開業後、足が重く皮 下にむくみが生じ、肌汁がまた出るようになったことからも内湿の問題が根深い と思われる。

最近の主訴で、かゆみよりもチクチクする(特に手足)ことが多いのも、内湿が 関係していると思われる。

腎陰は補われるが、腎陽は補われないため、陰陽のバランスがとれず、腎陽に よって支えられる脾の消化機能も回復できないでいる。

杞菊地黄丸の服用をやめたところ、左胃経の痛みがなくなったり、脂っこいもの や肉を食べても症状がきつくならないのは、陰陽のバランスがとれず負担がかか っていた消化機能が楽になったためであろう。

常に眠りが浅く、調子が悪いと眠れなくなるが、それによって疲れることがめっ たになく寝起きが非常に良いということから、裏の虚が大きく、生命力が損傷さ れている。これは、切診で命門、右腎兪、右三焦兪などに現れている。

まず、生命力を回復させることが先決だろう。これによって、脾の陽気も培われ、 内湿が排泄されやすくなると思われる。

内湿が排泄されたら、肝気をはっても耐えられるほどに腎の器を大きくすること が必要であろう。


弁証論治



弁証:脾腎の虚
論治:腎を建てる。それによって脾の陽気をバックアップし内湿を排泄する。








主訴:問診

時系列の問診

四診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治











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