治療方針:生活提言


身体がだるい弁証論治
病因病理:弁証論治




小学生頃は小児喘息がかなりひどかったようだが、中学、高校と学年が進むにつれて、治まっている。基本的に小児喘息は脾肺の虚と考え、成長とともに脾肺も充実してくると治まるもので、この患者さんも器の成長とともに症状は軽くなり無くなっている。しかし高校生になってからも年に1回くらいに減ったとはいえ症状が出ていたことを考えると、脾肺の本来の器自体が小さいのではないかと思われる。







社会人になってからは、夜勤のある忙しい仕事だったために、生活時間が不規則となり、食生活も乱れて太り始める。そんなある日、風邪を風邪をきっかけに甲状腺が腫れて、風邪が治っても甲状腺の腫れはひどくなり、ホルモン値には異常が無かったが、腫れが引かないために甲状腺の摘出手術を受けている。この手術以降、疲れてくると首から鎖骨の下にかけて凝りを感じたり、よく喉がかれたり、閉塞感を感じたりという症状が起こっている。これは、疲れて腎気の消耗が大きくなると、弱い脾肺の経絡部分に症状として現れるようになった可能性が考えられる。

術後の経過は順調で、療養もかねて実家で生活をしていたので、生活リズムだけでなく食生活も良くなったので、脾腎ともに養われ、体重も減少する。







30歳の頃、職場を変えて今の職に就くが、ここでも夜勤のある長時間労働で腎気を損傷し、今までは感じなかった疲れを感じるようになる。また食生活が不規則となって脾気も損傷し、体重が増え始める。

疲れを感じていても夜勤明けは良く眠れるなど、疲れ以外は特に体調も悪くなかったのでそのままの生活を続けることとなる。こうして徐々に腎気の損傷が累積して大きくなり、32歳頃からはお腹の冷え、倦怠感が日常的になった。

生理に際しては腎気という根の弱さのために肝気の張りが大きくなったことから、生理前、生理数日目までのお腹の痛みが現れるようになった。月経量の現象や生理期間の短縮も起こっているのは、腎器を小さくしたために、腎陰の損傷が肝血の損傷へと及んだためであると思われる。そしてこの頃、卵巣の腫れと小さい子宮筋腫が見つかっており、この生理痛の痛み方を考えても、下焦における気滞瘀血が生じ始めていたと考えられる。

またお通じの調子や体重の増加、胃もたれから脾気の損傷も大きくなっていることが窺える。







こうして肝脾腎の損傷が続き、33歳の10月には、常態化した生理痛様の腹痛を始めとして、胃の不調、倦怠感、不眠、便秘や下痢、不正出血、不眠などの不定愁訴がいろいろとピークに達し、婦人科を受診することとなった。ここで、再度、卵巣嚢腫が見つかり、大きくはなっていないが子宮筋腫もあるので、半年後に手術をする計画となる。その手術までは、卵巣機能の抑制、子宮筋腫の縮小などを目的に12月からホルモン注射を打つことになる。この注射により、身体の状態が大きく変わることとなる。

まず、常にあった生理痛様の腹痛は治まり、その他、不正出血、腰痛、下腹部の張り、お腹の冷えは無くなった。その代わり、身体のだるさ、足の冷えとのぼせがきつく感じるようになる。注射によって生理を止め、物理的に生理周期による卵巣や子宮の影響を受けなくなったが、それにより腎気が補われるわけではない。肝気を張って肝鬱になりながら生理を起こしていたので、気滞血瘀の症状として出ていた下焦の痛みなどは無くなったが、身体がだるい、足の冷えなど腎陽虚の症状が大きく表面に出るようになった。

また、注射してから、食欲がありすぎたり、足の冷えとは対照的にのぼせたり、不眠がひどくなったり、普段や夜目が覚める時には喉が渇いていたりと、肝血虚の症状が強くなり、そのために肝陽上亢の症状として、胃や上焦に熱症状がひどく出ていると思われる。もともと腎器が小さくなって陰陽両虚でバランスを崩しやすい状態の中、ホルモン注射という物理的な影響は受けて、陰陽の上下における解離が大きくなったのが、現在の状態であると考えられる。

注射によりその寒熱の症状が大きくでているが、腎虚による根の弱さが肝陽を上亢させることとなり、肝血虚を支える腎陰と脾気の損傷も深いために、ますます陽気が浮くこととなっていると思われる。







【弁証】腎虚、脾虚、下焦の瘀血

【論治】補腎、健脾







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療方針:生活提言











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