治療指針:生活提言


経乱の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



初経は14歳に始まり、その後生理の周期が整わないまま現在に至っている。経量は少ないと感じながらも14歳で初経が起こり、生理が来ていることから、順調に腎器が充実していき、天癸が至ったと考えられる。ただ20歳前後までは、まだ腎気の成熟過程にあるので、生理周期、月経量などに不安定なことは多々見受けられることなので、この患者さんも婦人科を受診するが、経過観察となる。







18歳の頃から昼夜が逆転したり、食生活が乱れたりと生活が不規則となり、夕方から頭痛、吐き気がよく起こるようになる。これは数時間でも寝ると治ることから、肝気を立てて行動して、そのために夕方になると腎気が落ちて、気の上衝が激しくなり、頭痛、吐き気を催している肝鬱状態であると考える。

19歳の時にタバコの煙で顔が痒くなり、唇が荒れたとのことだが、これも気の上衝が強くて顔に熱を持ちやすくなり、それがタバコの煙という刺激をきっかけに現れた症状であると思われる。ただ、バイトを辞めても唇の荒れは続き、腎気の回復の弱さが窺える。

20歳のから主にバイト生活となるが、生活は不規則である。そんな中、生理を整えようと服用した中容量ピルで顔に薬疹が出て、ピルを止めても唇の腫れ痒みは治まらなかった。その後徐々に唇の腫れ痒みは引いていくものの、完治せず、夜遅くまでおきているとひどくなるという状況になる。18歳頃から続いた生活の不摂生で肝鬱腎虚の回復が少しずつ追いつかなくなっており、この薬疹をきっかけに腎の陰虚が明瞭に現れるようになったと考える。

また、この頃から、腹痛を伴う大出血という生理が3~4ヶ月に1回起こり、大出血でも生理できちんと出血すればその後は不正出血のような微量な出血は無いが、このちゃんとした生理のない3~4ヶ月の間は生理と思われる微量の出血やダラダラ続く茶色のおりものなどがある。これは、肝鬱により肝の疏泄作用がうまく働かず、きちんと出血する生理の間隔が長いと考えられる。







唇の痒みのために夜更かしができないことに加え、専門学校に入り生活にリズムはできるものの、勉強にバイトにと体力的にもきつくなり、2年の頃には腰に鈍痛を覚え始め、更に腎気を落としていっていることが窺える。生理を起こす土台でもある腎気が損傷されていっているために、もともと肝鬱が強かったのがさらに強くなり、この頃から大出血の生理の回数が半年に1回くらいに減ってくることとなる。

また、専門学校に入学してからは下痢を多くするようになり、脾虚の症状も表面化し始める。もともとお通じは2~3日に1回で、出ないときは下腹部が脹ったり、理由無く下痢をしたり、旅行中や一人暮らしの時は出にくい方であることからも、肝鬱脾虚傾向にあると思われるが、腎虚、肝鬱も強まり、脾の虚損の度合いも増したと考えられる。







専門学校2年から定期的に鍼灸治療を受け、半年ほどすると少し生理が整い始める。それから更に半年ほどして夜更かしをしても唇の痒みが起こらなくなり、少しずつ腎気が立ち、陰虚も回復し始めていったと思われる。

しかし専門学校3年になり、唇の痒みがなくなったことで、夏にはまた生活のリズムが乱れて、勉強、バイト、遊びにと忙しい生活をするようになる。3年になってからは整い始めていた生理がまた乱れており、鍼灸治療では追いつかないくらい、生活の不摂生により腎気の消耗が進むこととなる。

この不養生のまま冬を迎え、中学生の頃からあった左大腿後面の鈍麻が毎日のように現れ、同時に左かかとに痛みを感じるようになる。この左大腿後面の鈍麻は、何らかの理由で経絡経筋を痛めたのが完治していないと思われる。そのために足をよく使う運動をするとそこに負担が掛かり、鈍痛が起こると考える。ただ、この3年の冬の時点では、腎気の消耗がかなり深くなったために、運動をしていなくても鈍麻が毎日起こり、左かかとにまで痛みが出ることとなったと思われる。







現在は、専門学校を卒業して、就職し、今までは疲れても学校などは休めていたが、仕事となるとそうもいかず、体力的、精神的にきつくなる。寝る時間も遅くなり、食事時間も不規則で、腎気を回復させるのが困難な状況である。




弁証論治



弁証:腎虚

論治:補腎







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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