嘔気が続く弁証論治


嘔気が続く弁証論治
治療指針:生活提言



治療指針



とにかく補気をする

弱り気味な脾気を支えて気を取り込む量を増やしたい

回復の邪魔をする風邪を追い出したい

上記の治療をすることで、気逆(による症状)が減ることを期待する

また、気逆が起こりやすい行動を避けることを勧める




生活提言



○○さんは、子どもの頃からお腹が弱かったと自覚がある通り、胃腸に症状が 出やすい体質のようです。

そして、大学時代のストレスや、研究室時代の 睡眠不足生活が、身体の土台である生命力をすり減らし、就職をきっかけにして 様々な症状が出てきてしまったようです。

さらに、嘔気で食べられなかったり、 お腹を壊して消化・吸収できなかったりで、十分にエネルギーを取り込むことの できない状態が続き、慢性的なエネルギー不足となっています。

それでも、 睡眠時間を確保できるようになり、また、鍼灸院に通ったりヨガを始めたりと 身体のお手入れをしていることもあり、少しずつですが身体の土台の力を 取り戻しつつあるようにお見受けします。







プチ断食をしたときに胃腸の調子がよくなることから分かりますが、○○さんの 胃腸は、休ませてあげれば回復する力があるようです。なので、最近の、朝食を 抜いて出勤する習慣は、胃腸を休ませるという意味で、よいことと思われます。

食べ物を受けいれる準備のできていないお腹に、いくら食べ物を詰め込んでも、 消化・吸収できないばかりか、胃腸はますます疲れて、回復する時間も なくなります。

ですので、まずは、朝食を抜く習慣を続けて、一日、一日、 胃腸に回復する時間をあげましょう。食べ物を受けいれる準備ができてから 食べれば、きちんとエネルギーを取り込むことができると思います。

そうすることで、エネルギー不足を少しずつ解消していくことができるように なるはずです。

また、○○さんの胃腸は、嘔気や腹痛・下痢など症状が出やすいですが、 それはストレスに対してとても敏感に素早く反応できているとも捉えられます。

消化・吸収行為が、胃腸にとって負担になりそうなとき、胃腸を空にすることで 負担を少なくする、そのような防衛反応をとっていると言ってもいいかも しれません。そのおかげで、胃腸自体は休ませれば回復できる程度に守られて いるとも考えられます。

そして、お身体を拝見したところ、風邪の反応が出ています。○○さんは 大学受験以降風邪を引いていないという自覚のようですが、実際は、風邪を 引いているけれどもはっきりとした症状を表すこともできず、追い出すことも できずという状態(風邪の内陥と呼ばれる状態)である可能性が高いです。

それにより、いつからかは不明ですが、知らず知らずのうちに体力を消耗して いるのかもしれません。







そのような状態ですので、現時点での目標は、慢性的なエネルギー不足の解消、 そのためには胃腸を休ませ回復させること、風邪をしっかり追い出すこと、

エネルギー消耗の節約、になるかと思います。

胃腸を休ませるのは、現在実行中の朝食を抜くこと、まずはそれで様子を 見てみましょう。食後にお腹が張るときは、そのときのお腹にとって食べ過ぎの 可能性があるので量を少なめにしてください。

嘔気や下痢が起こりやすい時期は、ストレスが多くなっていないか、環境を 見直し、避けられるものはできるだけ避けるようにしてください。

身体を守るためにもエネルギーを使いますから、節約できるところは節約したい ものです。ご本人の自覚的には、少し過保護かなと思うくらい、身体を いたわってあげてもよいかと思います。クーラーのきつい場所では、冷え切って しまう前に上着を羽織るとか首にストールを巻くとか腹巻をしておくとか。

電車内での不快な臭いをあまり吸わなくてすむようにマスクをしておくとか。

また、体調がすぐれないときは、自宅でゆっくり過ごすのが一番負担が少ない ようです。自宅の食事では嘔気が起こりにくかったことからもそれが伺えます。

生理前の具合が悪いとき等は、できるだけ外出を控え、自宅でリラックスする 時間を増やしてみてください。







余力や時間があるときは、慣れ親しんだ場所をお散歩したり、自宅で スクワットや踏み台昇降運動等、地味に下半身に負荷をかける運動をするのも お勧めです。全身の気をゆるやかにめぐらせることは胃腸の応援にもなります。

また、十全大補湯という漢方薬を飲むのも、慢性的なエネルギー不足を解消する ための、助けになることでしょう。

一朝一夕で解決する問題ではないので、細く長い根気が必要となりますが、 ○○さんのお身体には、治ろうとする力が十分にあると感じました。

身体をいたわり、一日、一日を大切に丁寧に生活していけば、必ず応えてくれる ことと思います。慢性的なエネルギー不足が軽くなるにつれて、主訴である 嘔気や、のどのつまり・咳も少しずつ軽くなっていくと思います。

鍼灸では、身体に入り込んでいる風邪を追い出す手助けや、弱っている部分を 応援することで○○さんの身体の治ろうとする働きのお手伝いができると 思います。養生の補助として、鍼灸を利用していただければと思います。







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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